60話 ページ17
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ここは滅多に人が来ないし、寮の壁側になっているので存分にトレーニングをすることができる。
だが、万が一の時に備えて、気配を薄くして行うことにした。
また、ここではトレーニングの時も欠かさず魔力制御のピアスは外さない。ルナもサクヤと同じく右腕にオレンジ色のブレスレットをしているが今は外していない。
初めは軽いランニングをしてからストレッチをする。それが終わると、今度はルナと一対一になって軽い手合わせのようなものを行う。
それぞれのボックスから木刀を取り出し構える。
これまで1度もルナに負けたことは無いが、油断は禁物だ。少しでも気を抜けば相手にそこを突かれてしまう。
緊迫した時間が数十秒続く。そして先に動いたのはルナだった。
身体強化をした脚はいつもよりも速く、その速度は稲妻のようだ。
身体強化とは、魔法の初歩的なもので体に魔力を送り、その部分の筋肉をより強化することが出来る魔法だ。しかしこれも魔法には変わりない。魔力を送りすぎれば筋肉を破壊することとなるし、かといって送る量を減らしすぎれば、意味もない。
稲妻のようにサクヤに突っ込んでいくルナをサクヤは、何もせずただ見据えるだけ。このままだと確実に吹き飛ばされるだろう。しかし───
ガツン……
木と木がぶつかった音とは思えない程凄まじい音が響き渡った。前を見るとそこには、右手でルナの木刀を防ぐサクヤの姿があった。そう、サクヤはあの攻撃をたったの腕一本で防いだのだ。
己の勝利を確信していたルナは思わぬことに、木刀に込める力を一瞬、緩めてしまった。その瞬間、サクヤはルナも見えないほどの速さで木刀をルナの首筋に突きつけた。
「……うん、全戦全勝っと。」
何事も無かったように立ち上がるサクヤ。
……本当にこの人は凄い。彼の凄さを改めて実感したルナは、自分の弱さに気づく。
「うう〜……またサクヤ様に負けましたぁ…で、でも!今度はルナが勝ちますからねっ!!」
いつか、いつか彼に勝ってみせる。そう自分の胸に誓った。
「……その台詞、毎回言っているけど、それで僕に勝った事1度も無いよね?」
事実を述べられ胸に言葉が刺さるが諦めない。
「いつかサクヤ様なんて、けちょんけちょんにやっつけて見せます!!!」
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如月唯奈(プロフ) - 今日から新しい時代が始まりました!今時代(?)こそ良いことが起こりますように!そして、この小説で一位をとってみたいなんて、贅沢を言ってみる(笑)これからもよろしくお願いします! (2019年5月1日 3時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
如月唯奈(プロフ) - 黒桜さん» コメントありがとうございます!久し振りのコメントなので嬉しいです(*T^T)更新は遅くなりますが、これからもよろしくお願いします! (2019年4月17日 18時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜(プロフ) - ストーリーも、イラストも私の大好きな世界観です!毎回更新楽しみにしています! (2019年4月16日 22時) (レス) id: 81872cb428 (このIDを非表示/違反報告)
如月唯奈(プロフ) - 暗黒桜さん» ホントだ!ありがとうございます! (2019年3月23日 7時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
暗黒桜(プロフ) - 如月唯奈さん» 57話が2回ありますよ! (2019年3月23日 0時) (レス) id: 9ef58b7b9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャル(如月唯奈) | 作成日時:2019年1月15日 22時