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藤「MC、よろしく」
スタジオ入りした俺をするりと抜いてMCの位置に立った
あれ、そう言えば今日藤ヶ谷と俺がMCの回か
すっかり抜けてた
余計なことは考えない…余計なことは考えない…
頬をパチリと叩いて気合いを入れた
そして足早に俺もMCの位置に立つ
俺の掛け声で始まるこの番組は、自分のVTRが流れる日はちょっぴり恥ずかしいけど、MCの日は堂々としていられるのだ
しかも今日は藤ヶ谷もMC
つまり余計なドキドキはしなくて済む
"普段から女の子にこうなのかな”とか、"やっぱり女の子が好きなのかな”とか…
次々に流れてくVTRと審査員にコメントを促す俺
…隣で笑ってる藤ヶ谷
ちらりと盗み見るとばっちり合ってしまった目線
珍しいな、だいたいこういう時、藤ヶ谷も俺と同じ方向見てることが多いのに
にこっと微笑まれてとくんと心臓が鳴ったのがわかった
それでも何事も無かったかのように藤ヶ谷が横尾さんのことを話してる
まるで俺が固まるのを見越しているかのように場を繋いでる
ほんと、こいつはいつから弟から悪魔になったんだろう
…あぁ、好きだ
少しだけ思考が奪われた
ダメだな、仕事に私情は挟まない!
頭を切り替えて俺も話の輪に参加した
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作者名:如月 なつ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年8月21日 17時