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がちゃりと扉を開けて、あいつを視界の中から探し出すと案の定目が合って頷かれる
こういう時はちゃんと伝わるんだよな
北「ちょっと聞いて?」
そう言うとがやがやが消えてしんとする
北「俺らの2つ前に出演予定だった方が貧血で倒れて出れなくなったそうだから、出番早くなった
後のトークがちょっと伸びるかもだから、よろしく」
それだけ言って藤ヶ谷と横尾さんに手招きをする
他のメンバーの、貧血かぁ、とか、大丈夫かなぁ、とかそれぞれの声が聞こえる楽屋を後にした
奇跡的に隣が空き部屋だったから横尾さんを座らせると、やっぱりふらふらしてる気がする
北「…いつから?」
横「あー、バレてた…?」
そう言って申し訳なさそうにこっちを見るから、なんだかちょっと小動物みたいだな、なんて
北「藤ヶ谷がそう言うなら間違いないだろうと思って」
不謹慎ながら自分で放った言葉が胸にチクリと刺さる
横尾さんは、藤ヶ谷と仲良しだから、いつ一緒にいたって変に思われないんだもんな
ちょっとだけ辛くなる
横「たぶんちょっと寝不足なのかも…笑
ほんと、ごめんね…」
特に熱気を感じる訳でも無いし、たぶん身体がだるいんだろう
藤「わた大丈夫?」
…横尾さんにはそれが普通だもんな
心の中で出た毒にまたチクリと胸がつつかれた
北「あっちの部屋じゃたぶんうるさいからしんどいだろうし、2人はここに居なよ
出番になったら呼びに行くから」
そう言うとわかった、と横尾さんは微笑んだ
ちらりと藤ヶ谷を見るとまたこくりと頷いた
他のメンバーに言っとけってことか
俺も、横尾さんを頼んだ、と気持ちを視線に乗せて頷き返した
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作者名:如月 なつ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年8月21日 17時