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北山side



いつからだろう、彼にこんな気持ちを抱えるようになったのは



はぁ、と思わずため息をつく



がちゃ



北「はよーっす」



先に来ているメンバーに朝の挨拶をしていつものソファーに体重を預けた



悩みの種にちらりと視線を向けると本を読んでいる



綺麗なその顔にとくん、とくんと早くなる鼓動



きっと手を繋ぐだけでぞっとされんだろな



そんな気持ち悪い自分の考えに苦しくなる



なぁ、藤ヶ谷、俺普通じゃないんだよ



じっと見つめるとまさかの目があってしまってぱっと逸らす



心臓がどくん、どくん、と大きく速くリズムを刻む



この現象だって、別に突然変異とかじゃない、等身大の俺なんだけど



それでも染色体がおかしくなっちゃった、なんて言われてしまうんだろうか



男は女に恋すべき、なこの世の中



だからこの想いがバレたら彼は自分や、メンバーに悪影響を及ぼすと言いふらすだろうか



ぐるりぐるりと巡る考え



はぁとまた1つため息をついて目を伏せた



藤「ねぇ、わたっ!これ良くない?」



聞こえてくる藤ヶ谷の声にきゅっと締め付けられる心臓



黒い気持ちが心を支配して行きそうになって焦って振り払う



横尾さんと藤ヶ谷はめちゃくちゃ仲がいいから近付ける



でも俺と藤ヶ谷は最強シンメと呼ばれても、俺はきっと嫌われてるから近付けやしないんだ



もうお願いだから、狂った悪役にでもしてくれ



なんで俺は男の振りをしなきゃいけないんだ



俺の心が泣き叫ぶ



いや、振りも何も男なんだけど、恋した相手も男な訳で思わず涙が出る



なんで相手が男で、しかもなんでよりによってメンバー、シンメなんだよっ…!



俺が女だったのならまだ希望はあったのかな



きっと他の知らない誰かに見られたら、どうせただの気持ち悪い悪者だもんな、俺は。



分かってますよ、こんな気持ちは早く捨てなきゃダメだって



二「みつ、みつ?大丈夫?」



頭上から二階堂の声



北「んっ、何?」



しれっと今起きた振りをしてみる



二「よかった、なんか良くない夢でも見た?」



北「…わかんない見たかも」



すらすらでる嘘に少しだけ笑えてくる



二「そっか、びっくりしたよ泣いてるから!」



え、泣いてる?



その言葉にびっくりして頬を撫でると冷たい水滴が指先に触れた



声がでかいよ二階堂…これじゃ藤ヶ谷に聞こえちまう



ちらりとまた藤ヶ谷を見るとバチッと合う目線に思わず目を背けた

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作者名:如月 なつ | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年8月21日 17時

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