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Aちゃんとの出会いは彼女が俺がいた出版社に入った時から始まる。
俺がいた部署に配属された彼女に俺は色々教える立場になった。
1つしか変わらないんだけどね。
Aちゃんは小さい時から本が好きみたいでページをめくる度にわくわくする本を作りたいというのが入社理由だったという。
それをキラキラとした目で言うから、半分腰掛的な理由で入った俺が申し訳なくなるぐらいだった。
年が近いから一緒に仕事をすることも多かった。
製作に携わった本を世に出したときは本屋を一緒に回ったっけ。
そして俺が星雲書房を継ぐからと出版社を辞めるときは。
「もっと宮田さんと一緒にお仕事したかったです」
「うちの本屋に遊びに来てよ」
「はい、行きます」
それからわりとすぐにAちゃんは来てくれて、手伝わせて欲しいと言われて、じゃあとお言葉に甘えて今に至っている。
来てくれることが当たり前になっていて、それが彼女の負担になりはしないかと気を遣ったつもりで。
俺は優しくも何ともない。
「宮、コーヒー冷めるぞ」
ニカの声でハッと現在に戻る。
「ごめん。考え事してた」
「そうやって考えてればいいよ。納得するまで」
「そうそう」
いつの間にか勢司さんは厨房に戻っていて、俺はいちごサンドを口に入れた。
甘酸っぱい。
方向がずれているのなら、正しい方向に持っていく必要がある。
いちごサンドを口に入れながら、何が、どう正しいのか考える。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年11月23日 14時