恋は街中に降り注いでいる２ (ページ8)

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「……あっ」

「あるんだな。心当たり」

「Aちゃん、仕事が忙しそうだから無理にここに来なくていいんだよって俺は言った」

「そのときの彼女の表情は？言葉は？」

「私は来たくて来てるんですって返された。表情は……覚えてないや」

「俺の推理だけど、そのやり取り何回もしてるでしょ」

「玉って名探偵？」

「宮っち限定のね。ってそうじゃなくてさ」

玉は顔を横に向けた。
そっちには玉の店で買った花が飾ってある。

「花は枯れてしまうものだけど、大事にすればその分返してくれる。人間だって一緒」

「…………」

俺はAちゃんを大事にしてただろうか。
玉に言われてハッと思う。

「お節介だと思っていいよ。ちょっと言ってみたくなっただけだから。……宮っちは俺の恋応援してくれたじゃん」

玉は可愛いなと思ってる場合じゃないのは分かってる。
いきなり岐路に立たされた気がする。

「じゃあね」

言うだけ言って玉は帰っていってしまう。

「…………」

振り返って店の中を見る。
3年の間にすっかり俺の色に染まった本屋には所々にAちゃんの作ったポップがある。
俺は頭の中で彼女がポップを書いている姿を思い浮かべる。
Aちゃんはいつも楽しそうに書いていた。

だけど多分俺はその意味を履き違えてたのかもしれない。
玉によってそれに気付かされた。

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