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「ミツ」



「おう。来たぞ」



ミツが展覧会に来てくれた。
ミツのことだからきっと服に使えそうなアイデアを探しにきたのだろう。



ミツと一緒に展覧会を回る。
するとミツは。



「これ、伴さんのか」



Aちゃんのあの作品の前で足を止めた。



「一瞬写真かと思ったよ」



「俺も最初見たとき驚いた」



「彼女声がかかるんじゃないか」



展覧会が開いて数日。
Aちゃんの元に話が実際来ているらしい。



「お前も負けてられないな」



「もちろん」



これからずっと二人で同じ歩幅で歩けたらなって思うから俺も負けていられない。



そういうミツはどうなんだろうな。
あとミツだけなんだよね。



ミツは一つ一つ丁寧に作品を見てくれて時折頷く。



「この展覧会の出展者にはどうコンタクトを取ればいい?」



「それだったらこのパンフに出展者の名前と連絡先、SNSのアカウントとか載ってるから、お仕事したかったら連絡してみて」



「サンキュ」



一通り見て回ってミツは帰っていった。
多分今後ミツの店の商品と出展者のコラボが見られるはず。



ありがたいことに毎日市内の人が見に来てくれて、中には市外から噂を聞いて駆け付けた人もいるとかで、本当にありがたい限りだ。



「千賀さん」



Aちゃんが駆け寄る。



「ミツがね、Aちゃんの絵を見て驚いてたよ」



「そうなんですか。後日お礼を言わないと」



そういえば師匠にAちゃんと付き合うことを一応報告したら素っ気なかった。
大方の予想通りだったらしい。
そして俺とAちゃんの絵を評価してくれた。
師匠には敵いません。



「聞いて下さい。さっきまたお声をかけて下さった方がいて」



「凄いじゃん」


多分君はこれからどんどん羽ばたいていける。
それは寂しいことじゃなくて俺は発奮材料。
彼女には負けないように俺も頑張るだけ。



あと俺はこれからも地元のため、アーケード街の人たちのために作品を作り続ける。
これも変えたくない。



「千賀さん。二階堂さんと勢司さんが来たみたいです」



「OK。行こうか」



だから俺はこれからもずっと描き続ける―――。



END



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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年11月23日 14時

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