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玉にも言われたけど、俺は優しい人なんてよく言われる。
多分顔立ちがその要因だと思うんだけど。
自分ではそうなのかはよく分かってないけど、他人に親切にしようというのは心がけてる。
大した恋愛遍歴があるわけじゃない。
ただ彼女たちは俺の優しさを独占したくて、俺にはそれができなかった。
たまに2次元の彼女たちと同一視してくる子もいたけど、それとこれとは別なのに分かってくれない。
あっちの女の子たちはある種の理想だけど、それを3次元の世界に持ち出したいわけじゃない。
これも方向性のずれなのだろうか。
もし交わったとして、そこでずれを見つけてしまったら。
その先はきっと。
「俊くんごちゃごちゃ考えずに食べな」
横尾さんが野菜炒め定食を持ってきてくれる。
「ありがとう」
ひとまずは目の前のご飯に手を合わせる。
「俺も方向性ずれてたなあ、恵麻さんに対して」
食べながら話に耳を傾ける。
「ずっと憧れて秘かに想い続けて。最近まで何も言ってこなくって。今一緒にいられてるから良いんだけど、何してたんだろうと思わなくはない」
横尾さんは苦笑しながら言った。
「俺が言えるのは俊くんには後悔して欲しくないなって。それだけ」
「俺も。……横尾さんごちそうさん」
キタミツは立ち上がりレジの方へ向かう。
俺の友達たちの方が俺なんかよりもずっと優しい。
俺は野菜炒めを食べながら、あともう1人の友達にも話を聞いてもらおう、もしかしたらあの子にも話はいってるかもしれない、そんなことを思った。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年11月23日 14時