・ ページ8
・
Aがいなくなって3か月経った。
俺は社長業に勤しむしかなかった。
不倫騒動の余波は少なからずあるが、業績にまでは及んでいない。
秘書は男になった。
なかなか優秀なので助かっている。
Aの消息は分からなかったし、誰も教えてくれなかった。
だけどある時、とある人が教えてくれた。
エレベーターに乗ったとき同期である戸山瑞穂に遭遇した。
戸山は仕事のできる人で課長になるのも近いなんて言われている。
「北山くん痩せた?」
「かもな」
「一人で行動してるの珍しい。いつも菱田さんが一緒にいたのにね」
戸山はいたずらっ子のように笑う。
彼女は俺がここの跡取りだと知ってもフランクに接してきたから有難い同期だ。
「分かってて言ってるくせに」
「ごめんごめん。菱田さんの近況知りたい?」
「何で営業三課のお前が知ってるの?」
「彼女の同期がいてね、話してた」
「それで?」
「菱田さん結婚したんだって」
「…………」
故郷に帰るとは言っていた。
もしかしたら昔からの知り合いとか元彼とかと結婚したのかもしれない。
もう、俺とAの人生は交わることはない。
分かり切っているのに、やっぱりショックだった。
「ショック?」
「分かってて言ってるくせに」
「ごめんってば」
俺は溜め息を零して。
「旦那は元気?」
「元気なんじゃない?」
戸山の旦那はアメリカで単身赴任をしているという。
だから彼女は今一人暮らし。
「その言い方、他に男でもいんの?」
「いるとしたら北山くんは何て言うの?」
「俺が何か言う義理はないよ」
「だよね」
つまり戸山には今別の男がいるってことか。
誰だろうなと考えていたらエレベーターが止まる。
扉の先には男性社員がいた。
・
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年9月11日 17時