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横尾家は代々渡辺家で働いていて、横尾家の子女は自動的に渡辺家に仕える。
俺自身何の疑問も抱くことなく、大学を卒業して渡辺の家にやって来た。
俺の人生はこういうものだと思ってた。
だけどAに出会って、恋をしてしまったときからこの世界はとても窮屈であることに気付いた。
自由や人権があるようでない。
だからこそしてはいけない道がとても魅力的に見えて、禁断の果実の甘さを欲してしまう。
例えば俺の友人の聖来とAの幼馴染の健永くんのような。
だけど結局窮屈な世界であるわけで、そこに踏み出せばその反発は大きい。
だけど一度味わった禁断の果実は忘れられるはずがなく。
「渉……」
Aが俺の眼鏡を外す。
俺たちはこの先一生一緒になることは出来ない。
だったら。
「……A」
「私は、やっぱり渉だけが好き」
彼女の手が俺の顔の輪郭を滑っていく。
公私混同はいつから始まったのか、教育係も担うようになって俺はAに対して自分好みに指導して、彼女は素直にそれを聞くからそれが可愛くて。
俺だけのA。
そんな醜い感情を持ったのはいつ頃か。
もう他の女は愛せない。
Aが他の男に愛されるのを考えただけで反吐が出る。
だったらもういっそこのまま。
「A」
「何?渉」
「俺を殺して」
この世界から消えてなくなった方がいい。
そう考えた―――。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年9月11日 17時