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「本当に俺は申し訳ないことを」
部下の宮田くんと一夜を過ごし、翌朝開口一番彼はこう言った。
「そんな、いいのに」
「Aさんは聖人ですか?」
「そんなことないと思うけど……。だったら昨日の宮田くんが言ったことは嘘?」
「嘘じゃないです。Aさんを可愛いと綺麗と好きだと思ったのも本音ですけど……」
すっかりいつもの宮田くんに戻ってる。
でも憎めない。
30歳の時に私は5年付き合っていた彼氏と結婚した。
夫は別企業で働いていて、将来は役員を目指すほどの野心家で、彼を見ていればモチベーションになるだろうと思ったのが決め手だった。
互いが互いを尊敬して高め合って、結婚生活は上手くいっていたと思う。
そこから2年後、夫にアメリカへの転勤の話が舞い込んできた。
私はついていこうかと彼に打診したら、Aは仕事がしたいんでしょと言われ、じゃあと離れ離れで暮らすようになった。
私のことを尊重してくれていると思った。
けど実状は少し違った。
お互い忙しいから会うのは年に2回。
夏に私が夫の所に来たとき、彼の部屋で女の痕跡を見つけた。
そこで私はふと我が身を振り返り、最後に愛されたのはいつだと考える。
子供はまだ考えていなかった。
彼もまだいいでしょという考えだった。
互いに仕事が優先、そして今は離れ離れ。
そうなれば回数は自然と減っていき……。
結婚〈生活〉なんだから、性格が合う人でいいと思ってた。
だけど夫が余所で現を抜かしているとなると話が変わってくる。
私だって女だ。
多少なりとも愛されたい。
ふとしたところで自分の欲望を引きずり出された。
夫がアメリカに行った同時期に異動してきたのが宮田くん。
柔和な笑顔で可愛い子だなというのが第一印象。
一緒に仕事をしていると、なぜか彼に目がいって、目が合えば声をかけられるなり微笑まれたりして、心が彼に惹かれていると気付いてしまった。
だけど私は既婚者だし、彼とは7つも年が違うしと抑えていた。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年9月11日 17時