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それから2年。
俺とAちゃんの関係は親族にバレることなく現在進行形だ。
「よくバレないね」
こう漏らしたのは幼馴染の一人、渡辺佳乃。
俺の秘密を知っているのは彼女を含め、あと2人いる。
「そう言う佳乃もでしょ」
「まあ、ね」
彼女もまた秘密の恋をしている。
横尾渉、っていう執事と。
「千ちゃん随分ご機嫌じゃない?」
「千ちゃんがご機嫌になるのはあの人のことでしょ」
「正解」
残りの幼馴染、藤ヶ谷太輔と高倉風花。
二人は兄妹なんだけど両親が離婚して、風花の母親が再婚したので名字が違う。
二人は兄妹だけど兄妹以上だ。
三人とは幼馴染で同じ大学に通っている。
まあここは8割の学生がどこかの家の御令息、御令嬢だっていうから、俺たちがこの大学に進むことはほぼ確定的なんだけど。
俺たち4人は秘密を共有することで、より親しくなっているような気がする。
「で、この後会うの?」
「うん」
この後はAちゃんと会う予定になっている。
「一筋だねえ。確かに綺麗な人だけど」
そう言ってガヤさんはテキストを広げた。
俺も勉強しないと。
お気楽な大学生をしていたら何を言われるか。
だけど、将来は決定事項がありすぎて何をどう頑張ればいいものか分からない。
だからなんじゃないかとも思う。
俺がこんなにもあの人一筋なのは。
Aちゃんがいないと生きていけないと思うのは。
「そういえば、Aちゃんが勤めてる会社の社長が秘書と不倫してるのがバレたんだって、奥様に」
「へえ。あの社長が。でもその奥さん性格きついみたいだから、されてもしょうがなくない?」
辛辣なことを言うのは風花。
「こらこら風花。その二人はどうなるんだろうね」
「引き離されるでしょ」
「…………」
佳乃もまた現実的。
だけどそれ自分で自分を抉ってる。
「秘密はバレなきゃいいんだよ」
そうガヤさんが溜め息をついた。
このときの俺たちは秘密がバレるなんて思いもせず、バレるわけないと信じていた―――。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年9月11日 17時