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「そういえばA、渉さん関連で何かあったんでしょ?」
「あーうん」
「渉さんがどうしたって?」
「渉にお母さんが縁談持ってきて」
私たちのことを知らないにしても、そんなことをするお母さんにムカついてくる。
「でも渉さんそれ受けないんでしょ」
「うん。曖昧にしたまま流すって」
「じゃあいいじゃん」
渉が私を第一に考えてくれてるのは嬉しい。
私も渉が第一だ。
だけど私のいる世界は封建的。
渡辺家の子女に個人の自由はない。
私には決められた相手がいる。
自由を得るためには与えられたものをちゃんと得ないといけない。
正直現代的じゃない。
「……私、結婚するなら渉がいい」
「カミングアウトするの?」
渉は私を変えてくれた。
渉は誰よりも私の近くにいてくれたし、私の理解者だ。
だったらずっと傍にいるのは渉がいい。
「私たちの中で秘密をどうにかできるのって、私だけじゃん」
「……まあね」
千ちゃんだって、太輔くん風花兄妹だって、一般的に見れば異常だ。
だけど私と渉は少女漫画にだってある設定じゃない。
「今すぐじゃないけどお父さんに言ってみたい」
「頑張れ」
「ヘマはするなよ」
この時私は恋愛感情に浮かされてた。
私は世間知らずのお嬢様で、愛と勇気だけでどうにかなると思ってた。
だけどそんなものは無力なんだと思い知らされることになる―――。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年9月11日 17時