・ ページ35
・
俊哉くんに話があると言って、ビジネスホテルの一室で待ち合わせた。
旦那にはもしかしたら出張があるかもと曖昧に伝えている。
「Aさんと外で会うのは久しぶりな気がする」
「そうだね」
「旦那さんには何て?」
「出張があるかもって言っておいた」
「ある、かも……」
俊哉くんは心配するような口ぶりで呟く。
「それで話というのは……?」
私は頭の中で練ったシナリオを繰り出す。
ごめんね、貴方の人生を狂わせて。
「……会うのやめようか、私たち」
こう告げれば彼は眉を下げる。
と思ったら黒目を真っ直ぐ私に向ける。
「旦那さん帰ってるもんね。……でも俺、まだAさんと一緒にいたい」
俊哉くんは本当に私といてくれるのだろうか。
もっと言っていく。
「もし今のままを続けて、俊哉くんとの関係がバレたら?同じ会社の同じ部署でそんなことが公にされたら私も俊哉くんも終わっちゃう。俊哉くんは私より7歳若いんだから、私じゃなくて……」
私たちはベッドの上に座っていた。
だから俊哉くんは私を押し倒す。
「やっぱり旦那さんの方が大事?俺は旦那さんの穴埋め?」
こんなこと彼に言わせたくないのに。
「違うよ。私は本当に俊哉くんが好き」
貴方が本当に大切だから、私のこれから言う提案を受け入れてくれるか不安なの。
「旦那さんと別れて俺と一緒になるっていうのは?」
「それだって疑いの目を向けられるよ。私は俊哉くんをクリーンのままにしたいの」
「……そしたらAさんもクリーンなままだもんね」
今彼を傷つけていることに胸が痛む。
今のままだったら二人とも地獄の入り口からUターンできるから。
すると俊哉くんは私の両手を取って、自分の首に置いた。
「全部失ってでも俺はAさんと一緒にいたいのにな」
そして、ねえAさんと言って。
「俺を殺して」
「…………」
「Aさんほどの人、見つけられるか分かんないし。だから一緒に地獄に落ちてよ。扉は一緒に開けたんだから」
彼のこの言葉で私はやっと腹を括れた。
私は彼と地獄に落ちる。
私は彼の首にある手を離し、俊哉くんのスーツを脱がしていく。
ジャケット、ネクタイ、シャツのボタン、彼を露にさせていく。
「Aさん……?」
「ねえ、俊哉くん」
私は唾を飲み込む。
「托卵って分かる?」
私の言葉に俊哉くんは少し目を見開いた。
・
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2021年9月11日 17時