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「以上が私の提案です。いかがでしょうか」
「いかがも何も……」
母は言い淀む。
私がこう言ってくるなんて思わなかったのだろう。
「…………」
父親は目を白黒させた。
「以上の提案を飲み込んで下さると嬉しいです。あとは財産分与とか小難しいことは二人で話し合って下さい。では」
私は言いたいことは言ったので自室に入った。
翌朝、リビングに行くと母だけだった。
父はもう出たらしい。
「おはよう」
「おはよう。……あなたが昨日言ったこと、しっかり留意するからあなたはこのまま楽しく学校生活を送ってなさい」
「……うん」
じゃあいってきますと言って母も出かけた。
「…………」
今までの無関心とは違って、認めてくれたことに心が湧いた。
*
「……ということがあったんです」
その日の放課後、私は宮田先生にそのことを伝えた。
「見たかったな、長文話す一ノ瀬さん」
「見られたくないです。思いっきし敬語を使ってまくし立ててましたもん」
「えーますます見たい」
「嫌です」
昨日の自分は本当に見られたくない。
「ご両親驚いたんじゃない?そんな一ノ瀬さんを見て」
「そうですね。反抗したことなかったですから」
「でも良かったね」
優しい声と笑顔で言ってくれるからもっと嬉しくなっちゃう。
「はい」
両親が離婚するのは免れないけれど、少しでも私に関心を向けてくれた。
そこは収穫なんじゃないかと思う。
声を上げれば答えてくれることの重要さも学べた気がした。
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ユキ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに作品読ませていただいていました。途中ヤキモキしたけど、2人らしい終わり方で気持ちがほっこりしました。゚(゚´ω`゚)゚。もう2人にも仲良し6人組にも会えなくなるのが淋しいです涙 素敵なお話をありがとうございました! (2021年9月20日 12時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年8月17日 9時