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「一ノ瀬さんは何度か目撃してるかもしれないけど、生徒から好意を寄せられることはある。
だけど心が動くことはなかった。
教師と生徒が、なんて小説や漫画の世界だけだと思ってたし、もしそれが表沙汰になれば罰せられるのが世の常だと思ってたし。
ガヤさんと大沢さんの例はあるけど、あの2人は幼馴染だったわけだから、ちょっと違うしね。
まあとにかくありえないと思ってた」
今の今まで繋がれた手が繋ぎ直される。
「だけど君から告白されたとき、模範解答を言いながら本当は心が動かされていた。
最初は本当に教師として一ノ瀬さんに踏み込んでいった。
そしたら一ノ瀬さんはだんだん俺に心を開いていってくれて、国語科準備室に来るようになった。
それが嬉しくて楽しくて、君を振ってしまった後、自分の気持ちをよくよく考えてみた。
精査してみた結果、いつの間にか一人の男として君を見ていたことに気付いてしまった」
私は黙って先生の想いを訊く。
私の想いがだんだん募っていく。
「だけど俺は教師だ。
もし落ちていくままに君と一線を超えて、もしそれが表に出てしまったら俺が消えて君が白い目で見られるか、君がいなくなって俺が残ってしまうかの二つしかない。
そんなの絶対嫌だった。
だから俺はある意味一ノ瀬さんを守るために教師として君を卒業まで支えると決めた」
少し肌寒い風が吹く。
厚めのパーカーを着ておいて良かったと頭の片隅で思いながら次の先生の言葉を待った。
「でも簡単に気持ちはコントロールできない。
タマと一緒にいるのを見て溜め息を零したこともあった。
正直な話、一ノ瀬さんから告白をなかったことにしてと言われたときにはひどく安心した。
これではっきりと教師と生徒で線を引けると思った」
若干腕を引かれ、先生との距離が近くなる。
「それからは一ノ瀬さんの目標が叶うように努めたつもりだよ。
まあ正直公私混同だったと思うし、油断したら線が曖昧になりそうなときもあったけど」
時計を見たら0時になっていた。
3月31日から4月1日へと暦が変わっていく。
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ユキ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに作品読ませていただいていました。途中ヤキモキしたけど、2人らしい終わり方で気持ちがほっこりしました。゚(゚´ω`゚)゚。もう2人にも仲良し6人組にも会えなくなるのが淋しいです涙 素敵なお話をありがとうございました! (2021年9月20日 12時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年8月17日 9時