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3月になればあっという間に卒業式だ。
皆志望したところに合格して、それぞれの道に進む。
「卒業かあ」
「寂しくなるよね」
「寂しいと思うってことは楽しかったってことだよ」
「良いこと言うね、かんなさん」
女子3人で一つの机を囲みながら話す。
「というか、かんな千ちゃんと付き合うようになったって早く言ってよ」
「ごめん。皆を驚かせたくて」
「本当にびっくりした」
数分ほど前、実はかんなと千ちゃんが付き合うようになったと聞いて、びっくりしたところだった。
男子2人もきっと千ちゃんから聞いた驚いてるに違いない。
聞いたところによると2人は両片思いだったらしい。
「明日デートするんだ」
そう言うかんなは本当に可愛かった。
「文乃は今日どうするの?」
「私はやっとやっと解放されるから皆と遊んだ後、押しかける」
文乃はやっとしがらみがなくなるので藤ヶ谷先生と一緒に過ごすみたいだ。
「Aは?」
「えっ?」
「宮っちに突撃しないの?」
「しないかな」
「えー何で」
「もったいないよ。Aが押せばきっとイケる」
何を根拠に?と思いながら私は昨日のことを回想する。
昨日も私は例のごとく国語科準備室を訪ねた。
入れば宮田先生は私に向かって微笑んだ。
「いらっしゃい」
「……ここに来るのも最後ですね」
例のごとく先生の前の椅子に座る。
「最後じゃないかもしれないよ。前にキタヤン言ってたじゃない。教育実習生としてうちに戻ってきて、あわよくばうちで教師になれば」
「そのとき先生はここにいますか?」
「いるよ。一ノ瀬さんが教師になる姿見たいし」
明日で卒業するけれど教師と生徒のラインはとても色濃い。
私も引いてるけれど、先生も引いている。
だから私はこの人を困らせたくなくて躊躇ってしまう。
「というか卒業してもうちに来ていいんだよ。一応君の先輩になるし。前よりは距離は遠くなるけどさ」
「……はい」
また線を引かれたと感じた。
あくまで先生と生徒なんだ、私と先生は。
この距離感、自惚れなのかなと思いながら先生の顔を見る。
視線がぶつかる。
「どうした?」
「何でもないです」
「そう?」
というようなことがあったのでとてもじゃないけど、突っ込めない。
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ユキ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに作品読ませていただいていました。途中ヤキモキしたけど、2人らしい終わり方で気持ちがほっこりしました。゚(゚´ω`゚)゚。もう2人にも仲良し6人組にも会えなくなるのが淋しいです涙 素敵なお話をありがとうございました! (2021年9月20日 12時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年8月17日 9時