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「乾杯」
「乾杯」
卒業式前の週末。
俺は宮田を誘って飲むことにした。
「どうよ、初めて自分のクラスの生徒を送り出す気持ちは」
この3つ下の後輩は3年前からクラスを持ち始め、その生徒たちが今度卒業する。
さぞ感慨深いだろうし大変だったろうから今日はその労いだ。
あとは……。
「感慨深すぎて泣きそう」
「泣くのは生徒たちだけで十分」
かくいう俺も自分のクラスの子を初めて送り出したときは泣きそうになったけど。
でも2回目の今回も感激は減るわけじゃない。
「初めて担任をした同じ学年にキタヤンがいて本当に良かった。ありがとうございます」
「いいって」
こいつはクソがつくほど真面目でいつも生徒のことを考えてる。
特に今年度は受験生だけに、より熱心に生徒と向き合っていた。
年下だけど見習わなきゃと思う点があった。
まあ教師としての姿勢は素晴らしいんだけれども。
「ところで」
俺は本題に踏み込む。
「ん?」
「卒業したらどうするの?あいつと」
「……キタミツが今日誘ったのはそれか」
宮田はフフッと笑ってビールを飲む。
こいつはたまに感情が読めなくて困る。
俺が今気になるのは宮田と一ノ瀬。
二人の世界を俺は何度も目の当たりにしたが、それで付き合ってないというのは無理がある。
何で気になるかといえば、そりゃ可愛がってる後輩に幸せになって欲しいから。
生憎俺は生徒はそういう興味の対象じゃないし、一般的に禁断と言われてしまうけれども、しょうがねえじゃん、落ちるもんは落ちる。
万有引力には誰にも逆らえない。
もちろん宮田だって生徒はそういう対象じゃなかっただろうし、禁断というのは分かり切ってるだろう。
だからこそ宙ぶらりんのままなんだろうが。
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ユキ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに作品読ませていただいていました。途中ヤキモキしたけど、2人らしい終わり方で気持ちがほっこりしました。゚(゚´ω`゚)゚。もう2人にも仲良し6人組にも会えなくなるのが淋しいです涙 素敵なお話をありがとうございました! (2021年9月20日 12時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年8月17日 9時