60 ページ11
・
10月。
私は相も変わらず時間があれば国語科準備室にお邪魔して、分からないことを訊いたり世間話をしている。
今日も質問をして準備室を出て昇降口へ向かおうとしたら、一ノ瀬さんと声をかけられた。
振り向くと。
「横尾先生、藤ヶ谷先生」
仲が良いとよく言われる二人だった。
「俊くんの所からの帰り?」
「あっはい」
俊くんというのは宮田先生のことだよね。
名前は確か俊哉だったから。
「俊くんとだいぶ打ち解けてるよね」
「頼りになる先生です」
「ミツが食えない奴って言ってたのようやく分かったよ。俺は生物の授業と学級委員のときしか知らなかったから」
「最近表情柔らかくなったよねえ」
「そっそうですか?」
なんだかお二人はギャルみたいに私に話しかけてくる。
「俺は一ノ瀬さんのこと応援してるよ」
「俺も」
「ん?」
何で私の気持ちが北山先生を始め、この2人にもバレているのでしょうか。
まあ当の本人にも知られてはいますが。
そういえば藤ヶ谷先生といえば。
「あの、藤ヶ谷先生、文乃とのことですが……」
藤ヶ谷先生は周りをキョロキョロ見てから。
「文乃から報告は受けてるよ。内緒にしてくれてありがとう」
「いえ、先生と文乃が守ってることをバラすメリットはありませんし」
「よくバレずにきてるよな」
「そこは徹底的にね」
藤ヶ谷先生と文乃、二人が一緒にいるイメージがまるで湧かないが、卒業したら見ることはできるのだろうか。
「横尾先生は黙認派で」
「そう。太輔はちゃんとしてるから」
「どうも」
なるほど、そういう仲なんて思っていたら。
「俊くんもきっちりしてるよね」
「ねえ」
「……私と宮田先生は生徒と先生ですよ?」
なんか風向きが変わったと感じる。
「ところがどっこい、そう見ない向きもある」
「まあ俊くんは気にも留めてないけど」
まあ噂になってもおかしくはない。
私が積極的にあそこに押しかけてるわけだから。
「まあ俺たちも黙認派だから」
「あ、ありがとうございます……?」
何で両想い前提なんだと思いながら腕時計を見れば、もう行かないといけないという時間だった。
「私そろそろ出ないと」
「ごめんね、呼び止めちゃって」
「気を付けてね」
「はい。さようなら」
「さよなら」
私は自分の行動を見直さないといけないかもしれないと思いながら、2人の先生と別れた。
53人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユキ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに作品読ませていただいていました。途中ヤキモキしたけど、2人らしい終わり方で気持ちがほっこりしました。゚(゚´ω`゚)゚。もう2人にも仲良し6人組にも会えなくなるのが淋しいです涙 素敵なお話をありがとうございました! (2021年9月20日 12時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 | 作成日時:2021年8月17日 9時