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「えっ?」
「だって警察に逮捕してもらう方法が確実じゃないですか」
「そのおかげで俺の仕事増えてるんだけどな」
「だから今回渉に協力したいと思ってるんだけどな。内田さん、この渉を含めて俺たちは誰かの大切なモノを守ったり取り返したりする活動をしてるんです」
こう静かに言ったのは藤ヶ谷さん。
「それは違法では?」
「まあそうだな」
横尾さんは裏でそんなことしてたんだなとやっぱりの気持ちと失望の気持ちが綯い交ぜになる。
「ぶっちゃけ俺が刑事してるのはここの活動のため」
「じゃあ辞められませんね」
「情報はいくらでも引っ張り出せるけどね、この俊くんが」
「なんかいきなり飛んできた。……まあ、はい。僕に調べられないことはありません」
それって不正アクセスに引っかかるのでは……と思ったけど私ははたと気付く。
「証拠がない」
「そうだね。俺らがこう言ってるってだけでは証拠にならない」
この方たちが今ここで何らかの犯罪をしてれば私は逮捕できるだろうが、今は何もしていないし、過去にしていたとしても具体的なことは分からなければ罪に問えない。
私は横尾さんにまんまとやられてる。
今この人たちは窃盗団を捕まえたいと思っている。
それは私も一緒だ。
そして私たちの周りに内通者がいるのではと睨んでいるのも一緒。
横尾さんが私を連れてきたのはそういったことがあるからだろう。
ここは一つ目をつぶるところはつぶっておこう。
「ひとまずは不問に付しましょう。私だって窃盗団を捕まえたいですし」
「ひとまずはありがとう」
「窃盗団も横尾さんたちも6人組ですか」
「そう。俺たちはあんなダサい格好はしないし、ただの盗みもしないし、防犯カメラにも映らない。だけど今後やりにくくなる可能性がある」
逆に横尾さんたちはどんなかっこいい格好をするんだろうか。
そっちに興味がある。
「横尾さんも内通者がいると思ってるんですね」
「これまで9件も発生している。パトロールだってしてるし事件発生後はすぐに駆け付けてる。それなのに見つからないってことは抜け穴を誰かが教えてるってことになる」
「横尾さんではないんですよね?」
「何度も言わせないで。俺はただでさえ浮いてるのに、内通者だったらもっとまともにやってる」
「それもそうですね」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年3月17日 11時