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「いっいつから……」
「警察を出てから」
「巻けば良かったのに」
「お前の魂胆は見えてたから怪しまれないようにね。最初から言うけど、俺は窃盗団の一味じゃない。俺だったらあんな浮く仮面しないし、防犯カメラに映らないようにする」
最初からバレてたのか。
さすがただの浮いた人じゃないだけある。
「まあ俺も内部の人間が怪しいと思ってるよ。……内田ならいっか。一緒に来て」
「はい?」
なんだか横尾さんの謎が分かるような気がしてついていくことにした。
ついていった先にあったのは隠れ家のようなバーだった。
看板には『C'monova』と書いてある。
横尾さんは平然とそこのドアを開ける。
入口にいる店員さんは何も言わなかったので顔パスなのだろう。
横尾さんはズンズンと一番奥まで進み、そこのドアを開けた。
「渉、やっと来た」
「あれ、知らない方だ」
中には横尾さんとはタイプの違いそうな男性が2人いた。
「後輩の内田A」
「こんばんは……」
「初めまして。宮田俊哉と申します」
「藤ヶ谷太輔です。渉が仕事関係の人連れてくるの初めてだ」
「内田とはほぼ同じ推理だったから。それに内部が絡んでくるとさすがに俺も太刀打ちできるか……。他の皆は?」
「玉もニカも千ちゃんも皆仕事」
「太輔と俊くんがいてくれるならいいや」
「6人組……?」
例の窃盗団も6人組だ。
「ここはアジト……?」
「だから違うって」
「疑われるのは心外ですね」
「俺たちだったらあんなダサい仮面被んない」
まあここが本当に例の窃盗団のアジトで私を懐柔させるために横尾さんが連れてきたのならもっと別の方法があるだろう。
横尾さんと仲の良さそうな2人もこんな穏やかな感じで私を迎えないだろう。
ここは何なのか?
横尾さんたちは何者なのか?
考えるところはまだあるが、ひとまず信じてみる価値がありそうだ。
「ひとまず横尾さんたちを信じます」
「ひとまずはありがとう」
「横尾さんはここで何をやってるんですか?」
横尾さん少し躊躇うような感じを見せながらも。
「嫌だったろ、俺の単独行動」
「疑問には思ってました。ほら、トレカの窃盗犯や有名アーティストの絵を盗んだ犯人とか」
「あれらはむしろ横尾さんに協力してもらった感じですね」
こう笑顔で言ったのは宮田さん。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年3月17日 11時