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次の日もその対応に追われた。
そんな中でも仕事をして下さる社員の皆様には頭が下がる思いだ。
社長の情報は一切こちらからは入ってこなかった。
そしてまた昼休み中の出来事だった。
藤ヶ谷さんから今会社の近くにいると連絡をいただいた。
私はすぐにそちらへ向かった。
藤ヶ谷さんはスーツ姿で仕事中なのに来て下さったんだなと分かる。
「ごめんね、お忙しいところで」
「そんな藤ヶ谷さんこそ」
「いきなりなんですけど、今晩予定ありますか？」
「ないですけど……」
すると藤ヶ谷さんは名刺サイズの黒い紙を出してきた。
「そちらの社長さんのことで話したくて、こちらに来てくれますか？あっくれぐれも他の方には内密で」
その紙には住所のみ記されていた。
「それでは失礼します」
藤ヶ谷さんは嵐のように去っていった。
本当にこれだけを渡したかったのだろう。
こんなの普通は無視したっていい。
たとえ憧れている人からの要望とはいえ。
でも今の状況が普通じゃない。
私にも何か社のために力になれることはあるだろうか。
そう思った私は仕事終わり、その紙に書かれていた住所へ向かった。
そこは隠れ家的なバーのような雰囲気で、看板には『C'monova』と書いてあった。
ここに藤ヶ谷さんがいらっしゃる？
でも入りづらい……と思っていたら。
「もしかして藤ヶ谷太輔のお客さん？」
声のした方を向けば、私が一方的に知っている人がいらっしゃった。
「えっと……モデルの玉森さん？」
「そうです。確か……柴原Aさん。ガヤから聞いてます」
「はい、そうです」
藤ヶ谷さんとモデルの玉森さんはご友人ってこと？
かっこいい人の周りにはかっこいい人がいるんだなと感心した。
「どうぞこちらへ。ここ一見さんお断りの紹介制のバーなので女性一人じゃ入りにくいですよね」
そう言いながらレディーファーストで入れてくれた。
そのまま一番奥の部屋まで進む。
完全個室の店のようで重厚な雰囲気がする。
玉森さんがその部屋のドアを開ければ中にはいらっしゃった。
藤ヶ谷さんはまだのようだ。
「玉、早かったね。そちらがガヤさんのお客様？」
「そうだぞ。オーナーのお前が案内しないと。入りづらそうにしてたぞ」
「ごめんごめん。調べ物してて店のカメラ見てなかった。初めまして、宮田俊哉と申します」
「初めまして、柴原Aです」
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2024年3月17日 11時
