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「分かりましたよ。可能な限りご協力いたします」
「ありがとうございます」
「これからもよろしくお願いします」
「内田が納得したなら……」
横尾さんは最後まではっきりとしなかった。
でもこの人のせいで私の人生変わりそうなんだけどなと思った。
*
内田が帰っていき、俺は溜め息を零す。
「横尾さんが怪しまれて尾行された時点で普通は無理よ」
いい加減覚悟を決めなさいなと俊くんに言われてしまう。
「俊くんは高塚さんに明かすときどうだったのさ」
「俺はこの人だったら大丈夫そうだなと思ったから別に」
俊くんのそういうところ強いなと思ってしまう。
俺はただ内田と普通の先輩後輩でいたかったんだけどなとやっぱり思ってしまう。
でもこうなってしまったからには仕方があるまい。
なるべく俺が動いて彼女の負担にならないようにすればいいだけのことだ。
「そういや渉。例の情報は引き出せた?」
「まあ。三上は少し関わりがあったらしい」
俺は二人に三上に書かせたメモを見せる。
「じゃあこれは共有ファイルに入れとくね」
俊くんはノートパソコンを操作した。
「でも渉の気持ちは分かるよ。よほどのことがない限り言いたくないよね」
「さすが親友」
「でもよほどのことだったわけで。あそこで言わないという選択もあったんだから。連れてきたのは横尾さんよ」
「……それは俊くんの言う通りなんだよな」
俺はどこかで共有したい気持ちはあったのかもしれない。
「あくまで協力者だからね。仲間にはしない」
「分かってますって。塔子さんがはっきりしないうちは呼びかけないから」
そんな話をしていたら太輔のスマホが鳴った。
太輔はスマホを見て。
「一旦外出るわ」
「ここでいいじゃん」
「そういうわけにはいかないのよ」
太輔がVIPルームを出た。
あれは……。
「恋ですね」
俊くんが断言した。
「恋だね」
むしろこの部屋の方が秘密は保たれるのにそうしないのは俺たちに冷やかされたくないからだ。
しばらくして太輔は戻ってきた。
でもその表情は神妙なもので、新たな事件の幕開けを感じざるを得なかった―――。
to be continued
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年3月17日 11時