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俊くんはガヤさんの胸を指差した。
俊くん6人の心の声は聞かないと言ってたけど。
「心の声を聞かなくたって推測はできるよ。子供の時を含めて何年の付き合いだと思ってるの。感情は時に目を曇らせるよ。俺たちの仕事は感情で人を裁くこと?違うでしょ」
こういうときの俊くんはとても冷静だ。
俊くんが今興味あることは誰が泰絵さんを殺したか、だから。
「……さすが主な行動理念がAな男」
「俺はガヤさんのためにもこの事件を解決したいだけ。弘子さんを助けることで少しでも2年前の無念さをなくしたいでしょ」
「こんなんで晴れるかよ!」
それはガヤさんの心の叫びだった。
「上司は謎に殺されて、後輩は辞めさせられて、そんなの組織を潰すまで晴れるわけがない」
ガヤさんの感情がダイレクトにぶつかってきてしんどくなった。
ずっとガヤさんは悔しいんだね。
「A、平気?」
「俊くんの背中借りる」
私は俊くんの背中に身体を預けた。
「いつでも貸しますよ」
「Aさんってエンパス?って言うんでしたっけ、それなんですか?」
「はい。私が聞こえるのは他人の感情なんですよね。特になぜか皆の感情がダイレクトに伝わってくるときがあって」
「ごめん、A」
「ううん。ガヤさんは本当に優しいんだね。だからこそずっと許せないままでいる。過去のことも今回のことも。あと人に興味があるよね。この人は他人に興味がないってのたまってるから余計にそう感じる」
「Aさんそれ少し語弊がある」
「俊、俺に興味ないの?」
「私は?」
「Aもガヤさんも俺にとって大切で特別だから興味ありますー」
なんだかいつものやり取りになってしまって宗像さんを見たら笑っていた。
「藤ヶ谷さんが普段から楽しくやってそうで良かったです」
「宗像……」
「ずっと私のために悔しがって下さってありがとうございます。まずは今回の事件解決しちゃいましょう」
「だな」
良かった、いつものガヤさんに戻った。
私は少し俊くんに問いかけてみる。
(ガヤさんって宗像さんのこと好きだよね?)
(だよね。ガヤさんも俺たちのこと言えないかもね)
「そこラブラブしないで下さい」
「いいじゃない。ガヤさん私と俊くんのラブ好きだって言ってたのに」
「ちょっと宗旨を変えた」
「何でよ」
それよりも捜査だと私は俊くんから離れた。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時