＊ ページ42
・
「親は組織に外に出なくてもいいようなスキルを望んでさ、日本とアメリカを行ったり来たりして今の技術を身に付けさせられたのよ」
「日本の学校は行ってないの？」
「義務教育は何とか行って、あとは通信教育で大学まで。どうしても触覚が駄目だったから」
「でも皆とは普通なんだ」
「皆はね、初めて会ったときから全然刺激がなくてさ。そうなれば自然と友達になっちゃうよね。Aもなぜか何にも感じなかったからびっくりした」
「それはありがたい限り」
だから自己紹介したときからフランクだったんだなと思い出す。
「グランシャリオが出来るまではどうしてたの？」
「タワマンで一人暮らししてたけど、やってることは今と変わらないよ。株で儲けて、皆のサポートをしたり、誰かの相談に乗ったり。そしたらミツが独立するってなって、ワタの喫茶店を併設するって言うからじゃあお金を出すよ、その代わり同居させてねって感じで今に至る」
「何で？」
「何が？」
玉ちゃんの話を聞いて思ったことをぶつける。
「何でそこまで玉ちゃんは皆のために動けるのかなあって」
こう言えば玉ちゃんは柔らかく笑った。
「そりゃ俺一人で十分生きられるよ。世の中金さえあれば生きていけるしね。でもそれって寂しいじゃん。せっかく馬が合う人達に出会えて、その人たちも俺を好意的に見てくれるんだから、その人たちのために生きたくない？」
だから玉ちゃんは皆の後方支援を進んでやるんだね。
彼の行動原理が分かった。
「Aだってそうでしょ」
「まあね。今は特に皆のために頑張りたい。女王様とかお姫様とか弄りもあるけど皆が私を褒めて伸ばしてくれるから、マジでこの環境が良すぎる」
私たちって『幸せの街』と似たところはあるのかもしれない。
ただその方向性が異なるから戦っているんだけどね。
「玉ちゃんは組織に対してどう思ってるの？」
こう尋ねた瞬間、車内の空気が少し淀んだ。
「俺、皆ほどは組織を憎んでるわけじゃないけど……親は未だに組織に金払ってるし、皆は組織にひどいことされてるし、俺の道理に合わないことばかりするし……やっぱりあいつらはなくなったほうが良い」
玉ちゃんは心底優しい人だなと思ってたら玉ちゃんはコインパーキングに車を止めた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユタカ２ | 作成日時：2024年2月14日 15時
