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「被害者との関係性はいかがでしたか?」
「良くもなく悪くもなく。ただ……池江さんは私のこと好きではなかったと思います」
「それはどうしてですかね?」
「主人がやはりああいった亡くなり方をしたからかもしれません……」
「…………」
またガヤさんから悲しみが伝わる。
人間色々いる。
なんとなく想像するに、池江さんのご家庭がどんなものか知らないけれど、旦那さんが警察官というのは多分嫉妬の対象になるだろう。
その旦那さんが亡くなった。
ここでそれ見たことかと思っちゃう人だったのだろう。
だとしたら色々なご近所トラブルがあったとしてもおかしくない。
でも何で弘子さんが疑われる?
「どうして弘子さんが犯人じゃないかって話に?」
「分かりません。泰絵さんが発見されたのは早朝でその前の日の晩に私は彼女を見ましたから、となるとその間に殺されたことになりますけど……」
「誰かにスケープゴートにされましたね」
ガヤさんは断言した。
俊くんは頷いた。
「声」が聞ける2人がそう言うのだからきっと間違いはない。
私は残念ながら弘子さんと周波数が違うようだ。
「事件判明直後からお噂があった感じですか?」
「私がその日仕事から帰ってきたらもう……」
「じゃあ意図的に噂を広めた人がいますね」
となるとこの事件はご近所界隈でのものだろう。
弘子さんのお住まいの地域を知る必要がある。
「ご近所の雰囲気はいかがですか?」
「泰絵さんがリーダーみたいな感じで……私はそこに群れなかったので……」
聞けば聞くほどスケープゴートにされたんだなと思ってしまう。
「僕たちも探ってみます。何かありましたら僕か宗像にご連絡下さい」
「はい。ありがとうございます」
「僕たちに頼って良かったと思ってもらえるように頑張りますので」
「肩肘張らないで。でも最後まで主人の事を調べて下さったお二人のことを信じてますよ」
「はい」
私たちは弘子さんのご実家を出た。
車に乗ったら作戦会議だ。
「次は?」
「それはもう現場周辺の捜査だね」
「真犯人ご近所界隈だと思うんだけど」
「Aと同意見。じゃないと噂は流さないし、流せないし」
「宗像、被害者に家族は?」
「います。旦那さんにお子さんが2人」
宗像さんは資料を見ながら答える。
「まあ色々と俺たちが動かなきゃ。担当刑事がどう動いてんのか知らねえけど」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時