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「まず、四位康主さんは『幸せの街』という組織に古くから献金をしていた。だからあまりお金はなかった。だけど組織への支払いが滞ると自分や家族の身に危険が及ぶ可能性があった。だから康主さんはあちこちに金を借りては組織に金を出し、借りた金を返していた。その一人が岡田さん、あんただ」
「そうだ」
「本当は金の貸し借りなんてしないに限るのよ。金の切れ目は縁の切れ目っていうしさ。だけどあんたには康主さんに金を貸さざるを得ない理由があった」
ニカちゃんはミツ、タブレットと言いながら振り向く。
みっくんに渡されたタブレットを操作して、画面を彼に見せる。
「これ、あんたの母親の口座の記録。あんた、康主さんと同じ職場だったときに職場の金、横領したでしょ」
刑事組が関係者たちの口座を調べた結果、ここに辿り着いた。
岡田は母親の使っていない口座に会社の金を移動させていた。
「そのことであんたは康主さんに脅されてゆすられた。だからあんたは康主さんにお金を貸していたではなく取られていたという言い方が正しいかもしれない。金のやり取りはちゃんと互いの口座で確認できるね」
きっと他の人もそうなんだろうなと思わせる口座の履歴だったなと思い出す。
金のためとはいえと思ってしまう。
「でもいい加減あんたも我慢の限界だった。そこで四位康主の殺害を考えた。これがあんたのプロローグ」
ニカちゃんは日隈の方へ顔を向ける。
「続いてはあんただ。あんたは同僚の佐々木さんと付き合っていた。だけどあんたの同期の青木さんの彼女だった四位愛里さんがあんたに付き纏うようになった。愛里さんの通話履歴を見たらあんたと佐々木さんにしつこく電話攻撃してたの。佐々木さんのラインも見せてもらったけど引いたね。それはさすがにあんたも我慢ならなかったんでしょ」
これがそれぞれの動機。
だけどだからといって殺していいわけじゃないけど。
「あんたたちさ、普段接点なかったのにどうしてこんな計画立てようと思ったの?いやあんたたちがこんな大がかりなこと考えられないか。岡田さんは怒鳴ることでしか虚勢を張れないし、日隈さんだって本来は優しい気性の持ち主だ。……誰の差し金?」
「…………」
「お前に何が分かる?」
するとニカちゃんは鼻で笑った。
「分かるんだよ。あんたたちのことなんて簡単に」
(こいつら何者だ)
(あの人と感じが似ている……)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時