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玉ちゃんの技術によって日隈と岡田を追いかけた結果、見事にヒットして私たちも彼らを追いかけた。
辿り着いたのは山奥の廃屋。
少子高齢化によって寂れてしまった所を探すのが上手いと感心する。
私たちはその前に立った。
こういうとき心の声で会話できる人がいると心強いよね。
(ガヤ、どう?)
(人数は2人。特に動きはなし)
(じゃあ行くか)
俊くんとガヤさんは念のため銃を表に出す。
ニカちゃんがドアノブに触れる。
そして思い切り引いた。
そこに一気に流れ込む。
「誰だ!」
「警察です。やっと見つけましたよ。日隈洋さん、岡田良文さん」
俊くんがそう言うとみっくんと千ちゃんが懐中電灯で2人を照らした。
ちなみに玉ちゃんとワッターはグランシャリオです。
照らした先には血痕が見えた。
ああ、ここで一家は殺されたんだ。
岡田は視線を右の方にやった。それを追えばその先に台所。
私はスマホのライトを使って台所の戸棚を開ける。
中には包丁が2本。
「皆、ここに包丁が2本」
「指紋残さないようにジップロックに入れといて」
「はーい」
私は事前に持っている手袋とジップロックを使って包丁を無事入れた。
「こんな廃屋に真新しい包丁があるはずないもんね」
「あとで調べておくよ。拭ったって反応は出るからね」
(何で包丁の場所が分かったんだ?)
これが岡田の心の声ね。
「あなたの視線を追ったらね」
(この人エスパーなの)
これが日隈の声。
「どう取ってもらってもいいですよ」
私の代わりに俊くんが答える。
当然俊くんも聞けるわけで。
そして感情が見えるニカちゃんが前に出る。
「あんたたちさ、何で殺害現場に来たの?」
「…………」
「…………」
「まあいいや。後で俺が当ててあげる」
初めて聞くニカちゃんの声色だった。
かすかに甘さがあり、だけど鋭さが前面に出ていて、耳元で聞いたら気圧されてしまう感じがした。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時