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「Aさんはいつから探偵事務所に?」
「半年ほど前からです。前にいた職場を辞めさせられて、次はどうしようかって思ってたときに俊くんが誘ってくれて」
「Aさんなんか凄そう」
「えっ?いやいやそんなことないですよ」
「あるから。A心の声が聞こえるだけじゃなく洞察力だってあるし武術もできて度胸が据わってて最強よ」
「俺たちすっかりAを頼りにしっぱなしなんですよ」
「ほら、やっぱり。あっ私もお名前で呼んでいいですか?」
「そこはもう好きに……」
明るい方だなと思った。
ガヤさんが惹かれるのも分かる。
「宗像さんは何で警察官に?」
「私、昔変質者に追いかけられたことがあって、そのケアを婦警さんがしてくれたんです。だから私も困ってる人がいたら助けられるような人になりたいと思って」
「何も宗像まで辞めさせなくても良かったのに」
ガヤさんの声には怒りが含んでいた。
「しょうがないですよ。大きな力には抵抗できません」
「にしても……」
ガヤさんは負い目があるのだろうか。
自分は刑事をやれているのにって。
「いいんです。私は別の道で人のためになれるように頑張ります」
そう言い切る宗像さんの表情に嘘はなかった。
「そこは俺もすごい応援してる」
もどかしいと思っちゃう。
まあこれ逆に私が思われていたことなんだろうけど。
そんな道中のやり取りがあり、私たちは目的地へ着いた。
着いて思ったのは。
「私はどういう立ち位置?」
宗像さんとガヤさんはお知り合いだし、俊くんは刑事だし、じゃあ一般人の私は?
「事務所の名刺持ってるなら探偵ってことにしちゃえば?」
「というか既に探偵じゃん」
「まあその方が都合良いか。私たちは独自に動いてるんだもんね」
というわけで弘子さんに自己紹介したときは探偵と名乗った。
「改めて事件についてお聞かせ願えますか?」
私は俊くんの隣で事件のあらましを聞く。
「……事件が起きたのは4日前です。ご近所の池江泰絵さんが近所の公園で遺体となって発見されました。首に絞められた跡があることから絞殺死と見られています」
弘子さんの言い方が一般人のそれではない気がした。
(ガヤさんによると弘子さんは元警察官みたいよ)
俊くんが心の声で教えてくれる。
それなら納得だ。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時