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私は桑田さんと安倍さんを連れてグランシャリオに戻った。
喫茶店はまだ営業中だったので事務所の方で話をする。
「桑田さんお辛いでしょうけど話を聞かせてもらえますか?」
「はい……」
「昨日愛里さんと連絡が取れなくなったんですよね?」
「はい……。他愛のない内容を送って、いつまで経っても既読にならなくて、普段そんなんじゃないから……電話も何回もしても出なくて……」
「それで愛里の実家に寄ってから私に連絡してくれたんだよね」
「うん。そしたら桃花が知り合いに探偵や刑事がいるって言ってくれて」
「それで昨日のあの場面ってことですね」
まだ死亡推定時刻とか細かいことは分からないけどその時点で愛里さんは殺されていたのかもしれない。
「愛里さんが最近誰かにつけられてるとおっしゃってませんでした?」
「はい……軽いノリでストーカーされてるかもって言ってて……私は大丈夫?って心配したんですけど……」
もしかしたらストーカーがいたのか?
心の中でメモをする。
「お付き合いしてる方とかいました?」
「いました。私も会ったことがあります。名前は……日隈洋さんといいます」
「日隈洋さん……ですね」
この方も調べる必要があるなと手元のメモ帳に書いておく。
「他にも四位家に関する情報はございますか?たとえば変な人たちが関わってたとか……」
「変な人といいますか……昔から愛里のお父さんが子供の時から宗教団体みたいなのにお世話になってるみたいで、お金がないって昔から言ってたのが気になってました。愛里は高卒で就職してましたし……」
私は思わず安倍さんとアイコンタクトをしてしまった。
お金をぶんどる宗教団体は他にもあるだろうけど……私たちの周りの宗教団体はあれしかない。
「それって『幸せの街』ですか?」
「えっご存じなんですか?」
「私も安倍さんも知ってるんです」
「実は高嗣が昔そこに通ってて、矢作さんも」
「はい。私も家がそういう家でして」
「そうだったんですか……」
まさかこの事件組織が関わってるの?
ただでさえ一家が殺害されただけでも凶悪事件なのに組織が関わってたら厄介だ。
「私が思いつくのはこれぐらいですね……。それ以外は仲の良い一家だったはずなんです。なのに……」
桑田さんはまた涙を流す。
私も経験したけれど友達を今の年で亡くす悲しみはそんなすんなり受け入れられるものじゃない。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時