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しかしその最悪の事態は起こってしまった。
朝一に俊くんから電話がかかってきて現場に来てと言われた。
すぐにみっくんから連絡があって安倍さんと桑田さんも連れていくそうだ。
みっくんの車に乗って現場へ向かう。
今にも崩れてもおかしくないような空き家だった。
そこにはブルーシートにかけられた……。
「桑田さんでしたよね。……この方が四位愛里さんで間違いないですか?」
俊くんが顔を見せる。
「……はい」
彼女は泣き崩れた。
辛いけれどこれが現実。
「あとの3人は?」
「しっかり身元を確認しないといけないけど残りの四位さんのご家族だと思う」
その後遺体は運ばれ、桑田さんは安倍さんと一緒にニカちゃんの車で休み、ガヤさんは現場指揮、あとの5人でみっくんの車に集まる。
「どういう状況で発見に至った?」
「昨日Aから連絡をもらってから四位さんに関する情報を集めてたんだけどその中であの空き家で物音がしたってタレコミが入ってたことを知ってね」
「来てみたら案の定ということか」
「詳しいことはまだ分かってないけど、どこか別の場所で殺されてあそこに置かれた可能性が高い。服には血が広がっていたけど周囲にはなかったから」
「じゃあその別の場所も探さないとな」
一家丸々だなんて惨いことを……と思っていたら別の重たい感情が私の中に入ってきた。
隣のニカちゃんかなと思い見れば彼はうな垂れていた。
「ニカちゃん?」
「……感じ取った?」
そう言って少し見えた彼の目は悲哀の色に染まっていた。
私はそれに飲まれていく。
「A」
助手席から伸ばされた俊くんの手を掴む。
これがニカちゃんの心の奥底にあった深い悲しみ……。
「ごめん。外に出ていい?」
「もちろん。落ち着くまで思う存分」
「ニカ……」
「千賀、悪い」
ニカちゃんを外に出すため千ちゃんは一旦外に出る。
ニカちゃんは外に出て千ちゃんは戻って扉を閉めた。
「……ニカちゃんの組織の恨みは何?」
こう尋ねれば三人は一旦目を合わせた後、千ちゃんが口を開いた。
「あいつ家族を組織に殺されたの」
「えっ」
それは今回のこととどうしたって結びついちゃう。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時