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翌日の夜。
夜もすっかり更け、静かな住宅街。
私は息を潜めていた。
じっとその時が来るのを待っている。
私の感覚を研ぎ澄ます。
どうよ、私のテレパス具合。
……来た。
ひたひたと感情が押し寄せる。
あとは間合いを間違えなければ。
……今だ。
(ガヤさん!俊くん!)
すると響き渡る悲鳴。
すぐに駆け付ける。
「宗像!」
ガヤさんが宗像さんを襲おうとする男にヘッドロックを決めた。
俊くんはもう一人の男を軽々と捕らえた。
私はというと物陰にいた女を表に引っ張り出した。
「何すんのよ!」
「こんな夜中にあなたこそ何をしてるんですか?表に出ろよ、あなたもグルでしょ?」
私たちは3人を取り囲んだ。
見事に皆ビビってる。
「宗像さんお怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。……さらに罪を重ねることはなかったと思いますけどね」
宗像さんの目の色が変わった。
そう、彼女だってガヤさんと組んでいた元刑事。
宗像さんこそギャップがある方なのでは?
「池江一平さん、石川正良さん、石川智美さん、あなた方にこの事件についてじっくりとお話を聞きたかったので少々手荒な真似をしてしまいました。ご無礼をいたしまして申し訳ございません」
「池江さん、あなたは今暴行罪で捕まえられていると思っといて下さい」
「はあ?」
一平は逃げようとする構えを見せるからガヤさんはコンクリートの壁に押さえつける。
「公務執行妨害も追加しますよ」
「横暴な警察だな」
「あなたたちが大人しくしてれば罪はできませんよ」
「…………」
ガヤさんと俊くんの攻撃に一平は口を閉ざした。
そしてガヤさんは鼻で笑った。
「こんなちゃちな事件に武藤さんを巻き込むなんてな」
「何だと」
「ちゃちに決まってるだろ。事件なんてどれも下らねえけど、不倫のいざこざの末の殺人はなかなかに下らねえよ」
ガヤさんが宗像さんを見る。
次は彼女の番だ。
「警察の捜査資料によると石川正良さんと池江泰絵さんの間に不倫疑惑があるって書いてありますね。それであなた方の約1ヶ月間の行動をとある方に追っていただきました。こちらをご覧下さい」
宗像さんはタブレットを操作する。
不倫の証拠と思われる写真をスクロールして見せていく。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時