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その心の声は多分恋の声だった。
ガヤさんは宗像さんの向かいに座った。
私と俊くんとワッターはカウンター席から話を聞くことにした。
「元気だった?」
「はい。藤ヶ谷さんは?」
「俺も。ここで皆と事件を解決してる」
閉店した店はとても静かで私も黙って二人の話を聞こうと耳を傾ける。
「今日はどうして?」
「武藤さんの奥様から自分に殺人容疑の嫌疑がかけられていると連絡をもらいました」
「えっ?」
途端ガヤさんの感情が伝わってきた。
とても悲しいものだった。
(A、平気?)
俊くんからアイコンタクト。
少し頷く。
「どういうこと?奥様が?」
「奥様の近所で殺人事件が起きたみたいで、被害者と奥様はそこまで仲が良くなかったみたいで、奥様が殺したんじゃないかって噂が広まってるみたいで」
「噂は噂じゃんか」
「武藤さんの件も未解決のままだからかと」
「それは絶対違うのに。……それいつの話?警察は何してんの?」
「3日前のことです。捜査はしてるんでしょうけど、これといった根拠がないみたいで」
「今奥様は?」
「今は自身のご実家に身を寄せてるそうです。それで現在公僕じゃない私に連絡を下さったみたいです。それで藤ヶ谷さんにもお伝え下さいと。調べられますか?」
「そんなの当たり前。調べる。俺から奥様に連絡を入れるわ」
「ありがとうございます」
話はまとまったみたいだ。
二、三のやり取りの後宗像さんは立ち上がった。
「じゃあ気を付けて」
「はい」
いつも私に優しいガヤさんだけど、その声色はやはり普段とは少し違う気がした。
宗像さんが店を出てガヤさんはこちらを向いた。
やっぱりどこか悲しい顔。
すると事務所のドアが開いた。
みっくんだった。
「防犯カメラから見せてもらったけど、宗像さん来てたのね」
「悪いけど今回は俺でやりたいから……」
「分かってるよ」
「でもAの手は借りたい」
「それは俺が決めることじゃないよ。まあ俺が言いたいのはそれだけ」
みっくんは戻っていった。
なんだかさすがは我々のまとめ役。
「Aは訳分かんないよね、今のところ」
「うん」
ガヤさんはカウンター席に座った。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2024年2月14日 15時