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私たちは高級そうなソファに座る。
しばらくしてミネラルウォーターを持ってきた若村が向かいに座る。
水はレストランのようにグラスに入っていて、グラスの中には氷が詰まっていた。
「それで話というのは？」
「両親の遺産についてお伺いしたくて」
ここでどれだけ引き付けていられるかがポイントだろう。
この間に皆さんが取り返してくれることを祈る。
「あー……申し訳ありません」
のっけから若村は頭を下げてきた。
「あなたのおじい様おばあ様に言われるままあなたのご両親の遺産を処理してしまいました」
いきなり下手に回るということか。
そうはいかない。
「それで若村先生も儲けたんじゃありませんか？」
「不服ならば全額お返ししますよ」
「結構です。お金ならあるので。お金の問題じゃありません」
どこのどいつも金金金。金より大切なものに気付きはしない。
「母のコレクションの一部あなたの手持ちにありますよね？」
「なぜそれを」
「とある方に教えていただいたんです。どちらにありますか？」
ここへ向かう道中宮田さんと横尾さんがこう話してくれた。
「なぜ若村は母のコレクションを売らずに所持してるんですかね？」
「若村が女好きってことは話しましたよね？」
横尾さんはそう言いながらハンドルを右に切った。
「はい」
「その対象が誰でも良いとしたら？」
宮田さんが後部座席の私へ振り向いた。
「えっ、そういう人って若くて後腐れのない女性と遊ぶイメージでした」
「北村さんってわりと毒があるタイプ？……まあ侍らすんなら若くて綺麗な人がいいんだろうけど。中には若村に手を出されたって奥様方がいらっしゃるって話があって」
「慰謝料請求されたケースもあるんだと。法律家だから色々とごまかすんだろうけど」
「お母様は綺麗な方だった？」
「私、母似って言われます」
「じゃあ綺麗な方だ」
「つまりは若村は母のことが好きで、だから一部を手元に残してる」
「と俺と横尾さんは見ている。じゃなきゃ独身の男が他人のアクセサリーを持ってる理由が見つからない」
二人の見立てだと若村は母のことが好きだった。
そこを突けば。
「ありますよね？」
若村の顔色は悪かった。
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作者名：ユタカ２ x他1人 | 作成日時：2023年12月17日 11時
