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それから一週間後、玉森さんから連絡をもらい、仕事終わり再び『C'monova』を訪れた。
「やっほAちゃん」
玉森さんがまた迎え入れてくれた。
「この店のオーナーってあの5人の中にいるんですか?」
「うん。宮田」
「えっ宮田さん?」
あの朗らかな感じの方がここのオーナー?
「そう。あいつ投資してたり趣味と実益兼ねてたりで金あるんだよねえ」
そう言いながら玉森さんはVIPルームのドアを開けた。
また他の5人がいらっしゃった。
「こんばんは」
「いらっしゃいませ。どうぞ」
私はまた藤ヶ谷さんの向かいに座った。
「早速本題に入るんですけど」
「はい」
「ご両親の遺産を管理されていた弁護士、若山優っていうんですがね、調べた結果、お母様のコレクションの一部を自分の物にしていることが分かりました。あとはもう売ったり何だりして残っていませんね。そのお金でおじい様、おばあ様は良い暮らしをしてあなたを育てられてたみたいですね」
「そうですか……」
私が引き取られたとき祖父は働いていて祖母は専業主婦だった。
それでも生活の質は両親がいたときと比べてそこまでグレードが落ちていなかった。
「そりゃ私が芸能活動応援しますよね。私に回してた分のお金を自分たちに回せますから。で、それが尽きたら私を頼るんだろうなって思います」
育ててくれた恩はすごくある。
でもそれとこれとでは少し話が違うと思ってしまう。
「それでAちゃん」
「はい」
元気を出してと言わんばかりに隣の玉森さんは可憐に笑う。
「お母さんの形見欲しい?」
既に私の気持ちは固まっている。
「はい」
「じゃあ……Aちゃんにも少し協力して欲しいんだよね」
「えっ?」
それは思ってもいなかった要請だった。
「若村弁護士を繋いで欲しいんだよね。その間に俺たちが取り返す。もちろんAちゃんを危険な目に遭わせないようにする」
「はあ……」
この人たちに協力するのは一向に構わないんだけど、そんなに上手くいくものだろうか。
「そんなに上手くいくのかって顔してるね?」
「えっ……」
玉森さんにまんまと言い当てられる。
前々からなんとなく思ってたけど、玉森さんって人の感情を読むのが上手い。
「Aちゃんってさ、超能力って信じる?」
「超能力……ですか?」
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時