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「西谷さんもしもの時はご協力いただけますか?」
藤ヶ谷さんにはこう言われた。
少し断ろうかなという気持ちになったけど、一度乗ってしまった船だし、勝手ながらに祖父の遺志を引き継ごうかなと思ったので快諾した。
私には私なりの正義感がある。
それからというもの、私は見せつけるように祖父の家に通った。
ニカたちも見張ってくれた。
そして1週間後の夜のこと。
私は『C'monova』にやって来た。
ニカと千ちゃんと藤ヶ谷さんがいて、横尾さんは見張っているという。
それにしても……私は3人の格好を観察してしまった。
黒づくめのスタイリッシュな格好だけど、奇抜だった。
「西谷ちゃんあんま見ないで。恥ずかしいから」
「それインナーというか見えてるじゃん。誰のアイデア?」
「西谷、玉知ってるでしょ。あいつ監修の服なの。だからいくら言ってもそのままで」
「凄いね、このダウン」
「下手に触るなよ。これめっちゃ高いって言われてるんだから」
大人気モデルの玉森さん監修ならこだわりはめっちゃありそうだ。
「じゃあ高嗣と千ちゃんよろしく。上手くやっといて。西谷さん行きましょうか」
「はい」
私たちは二手に分かれる。
ニカと千ちゃんはとある所へ、私と藤ヶ谷さんは祖父の家へ向かって横尾さんと合流する。
移動中は藤ヶ谷さんに色々教えてもらった。
藤ヶ谷さんたちのグループは6人で形成されていて、藤ヶ谷さんと玉森さんがフロント、横尾さんと私がまだお会いしていない宮田さんという方がブレーンで、ニカと千ちゃんは暗躍担当だという。
『C'monova』はニカたちの拠点で、あの店のオーナーは宮田さんらしい。
何で色々話してくれるんですかと尋ねたら私が信頼できるからと思ったらしい。
横尾さんと合流し、車の中から祖父の家を遠くから見張る。
しばらくすると人影が祖父の家に入っていくのが見えた。
私たちは忍び足で家に近づき、彼らが玄関から入った後、私がドアを開けた。
「ここは私の亡き祖父の家ですけど、あなたたちは誰ですか?」
「えっあいつ死んでるの?」
「孫いるなんて聞いてねえぞ」
どうやらこの2人は手下らしい。
そして詳しいことは聞かされてないらしい。
お可哀想に。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時