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暗闇の中、電流が見えてそれが彼女の方に向かった。
そして電気が点けられた。
女は倒れて気絶している?
「ふう、セーフ」
千賀さんが現れ、他の3人も隠れた場所から出てくる。
「ホントは女性にこんなことしたくないけど、古川さんのピンチならしょうがないよね」
「さすがに強くなかった?」
「千ちゃんが一番強いからなあ」
「ひとまずは不法侵入ってことで」
横尾さんは水上さんに手錠をかけた。
ところでさっきからどういう会話をしているのでしょうか……?
「うっ……」
「あっ気付いた」
水上さんは目を少し開ける。
「せっ千賀くん……」
「あんたさ、応援してくれるのは嬉しいけど、他人様に迷惑かけちゃいけないでしょ。あんたはファンじゃなくてただの犯罪者。二度とこんなことするなよ。ワタ、連れていって」
「了解」
突き放されて彼女は泣いていた。
でも皆さんを無視して横尾さんは連行していった。
何とも言えない気持ちが胸にこびりつく。
「彼女は何で……」
「水上さんは元々千ちゃんのファンで、担当はしているけど古川さんのことを好ましく思ってなかった。私利私欲で貴女のコラボ相手に千ちゃんを推薦して、採用されて嬉しかったんだろうけど、二人の話してる様子を見て嫉妬爆発って感じかな」
私の疑問に宮田さんが答えてくれる。
まあ横尾さんが吐かせるでしょと笑顔で付け加えて。
「下らん」
「ニカ、バッサリだな。もっと純粋な好きって気持ちだけで推してくれたら良かったんだろうけど、彼女の場合は拗らせてエスカレートしちゃったんだろうね」
「それにしても古川さんが無事で良かったです」
千賀さんから綺麗な笑顔を向けられる。
「もう、宮、古川さんに危ない橋渡らせないで」
「ごめんって。犯人を同じ土俵に上がらせるにはしょうがなかったんだって」
「あの、千賀さんが助けてくれたんですよね?」
「はい」
触れていいのかなと思いつつ私は疑問を口にする。
「電気が見えたんですけど、何か機械を使ったんですか?」
こう尋ねれば3人は顔を見合わせた。
「どうする?」
「俺は別に構わないけど。千ちゃん次第」
「既に俺たちの活動知られちゃってるしね」
そう言って千賀さんが手をかざすと開いていた作品管理室のドアが閉じた。
「えっ?」
「千賀、ロックかけておくぞ」
「ありがとう」
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時