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千賀さんたちの活動は未だによく分かってないけど、私にとっては正義の味方であろうから託してみるしかない。
夜になり、私は『C'monova』を訪れた。
千賀さんに案内されたVIPルームには初めましての人がいた。
「初めまして、横尾渉です」
「古川Aです」
「ワタはね、刑事なんです。窃盗事件専門の」
「そうなんですか」
「なので僕と二階堂で古川さんの作品が盗まれた事件を調べています」
「ありがとうございます」
「宮の方は?」
「俺はまだ探し中。で、思ったんだけど二人のスタッフさんの中で二人のSNSにコメントしてる人はいないかなって。千ちゃんからもらったリストの中から探索してる」
そう言いながら宮田さんは指を動かしていた。
横尾さんと二階堂さんもパソコンを見ながら話してる。
じゃあ私たちにできることは何か?
情報提供だ。
すると千賀さんが尋ねてきてくれる。
「作品の持ち主の方ってどんな方ですか?」
「以前行ったイベントのイベント会社の社長です。私の作品を飾りたいと言うのでお売りしました」
「ニカ、その家のセキュリティって?」
「一般的な感じ。古川さんの絵もただ飾ってた感じだからそりゃ盗られるわな」
「ワタ、どんな感じで侵入されたの?」
「夜中に1階の窓が割られてそこから侵入。家主たちは寝ていたため気付くのが遅れてそのまま絵は盗まれたって話。防犯カメラには一人の黒ずくめの人物が映ってる。顔は映ってないけど女ということは分かっている」
「迷いのない犯行だね」
「予めそこにあったことを知ってたってわけですね」
「絵って直接渡されました?」
「はい……飾られてるところも見てます……」
あれ、その時誰がいたっけと記憶を探る。
あの時は確か……。
「古川さん」
「はい……」
千賀さんから真剣な瞳を向けられる。
「今後への覚悟ありますか?」
きっと互いの頭の中にある犯人像は一緒だ。
「あります」
「じゃあ協力していただけますか?」
「いくらでも」
覚悟はとうの昔にできている。
私や千賀さんの制作を邪魔する人なんていらない。
「はい、出来た」
そう言って宮田さんは腕を上げて身体を伸ばした。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時