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悲しい気持ちや悔しい気持ちでいっぱいの中、私はさっきの宮田さんの言葉を思い出す。
「あの、どういう経緯で私の名前が出たのか教えていただいても構いませんか?それと玉森さんたちは一体……」
「俺が引き込んじゃったもんなあ。いいよね?」
玉森さんの問いに皆さんは頷いた。
「俺たちは誰かの大事な物を正当な持ち主にお返しするって活動をしてるの」
「それって……」
合法的なことだろうかと優等生として生きてきた私は思ってしまう。
「まあ法には触れてるよね。だから内密でお願いしたいんだけど」
「はい……」
華々しく芸能の世界で活躍されてる玉森さんが裏でこんなことをしてたとは。
いや、芸能人の姿が仮初めで本来はこっちが主なのだろうか。
「で、何で北村さんに行き着いたかというと」
私の一つ目の質問を宮田さんが答えてくれる。
「前にした仕事で関係してた企業の社長を調べていたら、その人北村さんのご両親の会社に勤めてたんです。僕つい数珠繋がりに調べるのが好きで、その会社はどうなっていたのかとか調べているうちに北村さんは大丈夫だろうかと思いまして」
「と言いますと」
「ご両親の会社は北村さんのお父様の右腕だった方が引き継ぎ、今もなおあります。で、その会社の顧問弁護士というのがご両親の遺産を管理されていた人でもありました」
「そうなんですか」
弁護士さんが管理しているとは言われてもその弁護士さんに会ったことはなかった。
これも私の落ち度だろうか。
「知らなかったのは無理もありません。当時の北村さんは11歳でご両親も一気に亡くされたわけですから、大人が守るのが当然のことです。ただその守り方が問題なだけです」
「はい」
私の相槌に宮田さんは目を細めた。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時