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「あいつじゃねえの?」
「あいつ?」
「あいつだよ。宮田俊哉。何か知らねえけど社長と仲良くてさ、俺より年下なくせしてアドバイザーとかって結構なご身分で。あいつ前々から怪しいと思ってたんだよねえ。だからあいつじゃない?」
「宮田さんがそんなことするわけでしょ!」
思わず声を荒げる。
私のことは馬鹿にしていいけど宮田さんを馬鹿にするのは許せない。
「あの人はガチ中のガチよ。我々のコンテンツに対して愛があるじゃない。だから色々な仕事をしてるんでしょ。むしろコンテンツに愛がないのはあなたのほうよ。コンテンツに愛のない者は即立ち去りなさいよ!」
「うるせえ!」
高尾の手が私の首へ伸びる。
まずい、殺されると思っていたら。
「うおっ!」
高尾の身体が不自然に後ろへ飛んでいった。
見れば宮田さん、玉森さん、横尾さんが部屋の中に入ってきていた。
「はい、殺人未遂で現行犯逮捕」
「高塚さん大丈夫?」
「ケホッ、はい、何とか……」
「玉、一応救急車」
「はいよ」
私は起き上がってみせる。
宮田さんは高尾の方へ向かって、しゃがんだ。
「何だこれ、身体が動かせねえ……」
「だろうね。たっぷりお見舞いしてやったから」
私のいる所じゃ宮田さんの表情が見えないけど、声はいつもより低くて鋭かった。
「どうして、お前が……」
「俺の計画に乗ってくれてありがとうね。諸悪の根源はお前じゃないかって推理してたんだけど、お前はそう簡単に尻尾出さないだろうなって思ってさ。手っ取り早くお前を捕まえたくて高塚さんに協力してもらったんだよ」
そう、宮田さんの計画はこれ。
宮田さんは私を守ってくれた。
でもどうやって高尾を吹っ飛ばしたんだろうか……。
「横尾さんもう連行しておいて」
「了解」
「救急車もう少しで来られるって」
「ありがとう、玉」
高尾は横尾さんに連行されていって、宮田さんは私の方を振り向いた。
もういつもと変わらない柔らかな雰囲気だった。
「高尾さん、ありがとうね」
「えっ?」
「俺のことガチ中のガチって言ってくれて」
「盗聴させてもらってたから聞いちゃった」
玉森さんが机の上に貼られていたものを剥がす。
「だって宮田さんはいつも凄いですから……」
「うん、ありがとう」
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時