* ページ20
・
「はい」
「僕は正直な話、あなたの身に危険が及ぶことが避けたいです。でもやむを得ません。これから僕の言う計画に乗って下さいますか?もちろん高塚さんのことは全力でお守りします」
「もちろんです」
私はこの業界を守る覚悟で、宮田さんの計画に乗ることにした。
*
計画を実行する日がやって来た。
場所は会社の会議室。
なお社長にも今日の計画が宮田さんから伝わっている。
「高塚、何だよ。用件って」
その人物が会議室に入ってきた。
彼は先輩の高尾さん。
信じたくないんだけど、彼が今回の首謀者だ。
「実は先日のイベントから、高尾さんと戦うときに出したあのレアカードがなくなってまして」
「マジか。どこにもないのか」
「はい。どこにも。だからあのイベント中に私の隙を見て盗んだ人がいると思うんです」
「それ誰かに言ったのか?」
「言ってないです」
私は一つ嘘をつく。
「何で俺に言ってくれたんだ?」
「それは……盗ったの高尾さんじゃないですよね?」
「何言ってんだよ。そんなこと言ったら高塚のファイトを見た人間全員疑うべきだろ」
「疑いました。疑ったうえで高尾さんに声をかけたんです」
「だから何でだよ」
ここまでは台本通り上手くいっている。
あとは己と宮田さんたちを信じるだけ。
「……高尾さん、うちのカードを狙った窃盗事件に関わってませんか?」
「お前、頭おかしいぞ。何でうちの会社を貶めるような真似しないといけないんだ」
「それはむしろこっちが訊きたいですよ。高尾さんがものすごく強力なバックがあるから何してもいいと思ってそうなのが怖いです」
こう言えば先輩はギョッとしたような顔を見せた。
「お前何でそれを知っている。社長でさえも知らないトップシークレットを……」
「ごめんなさい。一つ嘘をついてました。私、とある方たちに今回の事件と私のカード紛失の件を調べてもらったんです。そしたらあなたが浮上したんです」
「証拠はあるのかよ」
「証拠は……」
私は少し俯く。
これは半分ぐらい演技だ。
「なんだ。ねえじゃねえか。それなのに俺を犯人呼ばわりかよ」
「私のカードはどこですか?」
「だから知らねえって」
「どこですか?」
「お前は頭のおかしいヲタクかよ」
先輩は私の身体を押し倒した。
そして馬乗りをしてくる。
さらに鼻で笑いながら。
・
49人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時