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宮田さんの話を繋げて考えたら恐ろしくなった。
「えっ?ということは諸悪の根源は私の周りにいるってことですか?」
「残念ながらその可能性が高いと思ってます」
誰だろう。
少なくともあのイベントにいて私のデッキを見ている人物が容疑者……。
「……犯人の目星はついてるんですか?」
「警察の動きが鈍いということは何か強い権力があるということからも考え合わせると……この人であると僕は考えています」
宮田さんが見せてくれたパソコンの画面には私の知っている人物が映っていた。
「えっ?この人が?」
「この人、とある財閥系の企業グループのトップの私生児なんですよね」
「はあ……」
何だかとんでもない話になってきた。
まさかトレカ窃盗からここまで話が大きくなるなんて。
「逮捕できないんですか?」
こう尋ねると溜め息を零したのは横尾さん。
「俊くんの言ってることはあくまで推論なんですよ。その出品者は辿ってみたんですが、この人ではなく、この人物は裏側のさらに奥にいるという感じなんです。続いているカード窃盗事件と高塚さんの件の具体的な繋がりはまだ見えてないんです」
「そうなんです。これは僕の推理なだけなんです。今のところ」
「じゃあ直接的な証拠があればいいんですね」
私がこう言うと宮田さんの目が少し泳いだ。
だけどすぐに私の方を見る。
「それは……高塚さんの身に危険が及びます」
「でもこの方が黒幕の可能性が高いんですよね。だったら早くなんとかしないと。このままではこの業界がめちゃめちゃになります」
「それは絶対駄目……」
宮田さんはそう呟いて腕を組まれた。
しばらく考えられた後、横尾さんと何やらこそこそと話し始めた。
それを見ていたら玉森さんが近寄ってきた。
「あの二人うちのブレーンなんだ」
「玉森さんは?」
「俺はフロント係かな。依頼人と話したり、任務の時は前に出たり」
「芸能活動お忙しいのでは……」
「あくまでメインはこっちだから。宮田さんもワタもね。表の仕事はこちらの仕事のためなんですよ」
やっぱり宮田さんはただのヲタクじゃないと思ってしまう。
「高塚さん」
宮田さんは横尾さんとの話し合いを終えたようだ。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時