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「あなたは私の母に抱いちゃいけない感情を持っていた。違いますか?」
「それは……」
「あっもしかしたら他の女性のもあるんですか?それはいけませんね。気持ち悪がられたくなかったら……」
「この……」
すると若村はスマホを取り出しリビングの明かりを消す。
いきなり暗くなったから何も見えなくなる。
するとグンと誰かに腕に引っ張られた。
これはどう考えてもおっさんの手。
「キャッ!」
「水出してやったのに飲まねえし、あの女に似て強情だしよ!」
やっぱりあの水怪しかったし母は拒んだのね。
でもこのピンチどうしようと思ったらビリッと電流の音がした。
私の身体は引っ張られなくなった。
「うわあ!」
ドンと床に転がる音がした。
「彼女に触れるなケダモノ。そのまま寝とけ。行こう」
「はい」
藤ヶ谷さんに優しくエスコートされて若村邸を後にした。
車に戻ると皆さんが待っていた。
「Aちゃんガヤお疲れ〜」
「取り返した?」
「もちろん。俺とニカと千ちゃんの能力でちょちょいとね」
玉森さんが開いたアタッシュケースには母の好きだったブランドのジュエリーアクセサリーが広がっていた。
「綺麗」
「あいつがご丁寧に管理してたのがせめてもの救いだね」
「ありがとうございます」
私は皆さんに頭を下げる。
母の形見をこうして目にすることができて私は幸せだった。
「にしてもガヤのスマホを通して会話を聞いてたけど、Aちゃん女優だねえ。すげえあいつに迫ってたじゃん」
「俺も横で聞いてて強い女性と思った」
「少しそういう演技もしましたけどほとんど素でしたね」
芸能人の私は大人しそうなイメージを持たれてるけど、素はこんなもの。
自分の権利とかはちゃんと主張していきたいタイプだ。
「へえ」
すると玉森さんはニマニマと笑った。
嫌な予感がする。
「Aちゃん綺麗な顔して案外リアリストだよね」
「思った。頭の回転速いし」
「度胸も据わってるよねえ。芸能人さんだから?」
やっぱり嫌な予感がする。
話題も変えなきゃ。
「それより、今回の報酬、ちゃんとお支払いします。おいくらですか?」
「それは後日玉からご案内するよ。それよりさ、北村さん……」
また私は話題を変える。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時