ようこそ未来へ ページ1
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「じゃあ少しここで待ってて」
「はーい」
マネージャーさんにこう言われて私は事務所のソファに腰かけた。
ここはとある芸能事務所。
私は16歳の頃からここに所属していて、おかげさまで24歳になった今でもモデルや女優の仕事ができている。
今日は仕事の打ち合わせで事務所にやって来た。
それが終わったところで次の仕事現場に行く前になって、マネージャーさんは別の人に呼ばれていなくなってしまった。
「……はあ」
私は溜め息をついてしまった。
ありがたいことに仕事は順調だ。
私を今悩ませているのはプライベートの話で……。
「Aちゃん、やっほ」
ぐるぐると考えていたら声をかけられて顔を上げる。
「玉森さん、おはようございます」
彼は玉森裕太さん。
同じ事務所の先輩だ。
玉森さんもモデルや俳優をされていて、インスタグラムのフォロワーは100万人を超えている。
玉森さんとは仕事で何度かご一緒しており、こうしてちゃん付けで呼ばれている。
「打ち合わせ?」
「はい。それが終わって次の現場へ行こうとしたらマネージャーさんが呼ばれちゃって待機してます。玉森さんは?」
「俺もこれから打ち合わせ。だけどまだ時間があったからぶらぶらしてたらAちゃんを見つけた」
隣いい?と訊かれたのでどうぞと返す。
玉森さんは私の隣に座った。
「何かお悩み?」
「えっ?」
「Aちゃんの表情が暗かったから」
「はあ……」
「なんか嫌な奴がいたら周りに言うんだよ。Aちゃんは今をときめいてるんだから」
「いえ、仕事のことじゃないんです」
でも私の家の話を玉森さんにできるわけないし……と思っていたら、玉森さんはスマホを取り出して操作した。
「Aちゃん今日仕事は何時まで?」
「夜の9時ぐらいには終わる予定ですが……」
そして玉森さんはお財布を取り出して黒い名刺サイズの紙を出してきた。
紙には白い文字で住所が書かれていた。
「仕事終わったらここに来て。俺もそれぐらいに終わるからさ」
「えっと……」
「安心して。怪しいところじゃないから。でも来るときは一応気を付けてね」
「あの……」
なんだか決定事項になっちゃってるんですが……。
すると玉森さんは私の耳の傍に来て。
「Aちゃんのお悩み解決するよ」
「えっ……?」
「北村さんお待ちしてすみません」
するとマネージャーさんが戻ってくる。
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作者名:ユタカ2 x他1人 | 作成日時:2023年12月17日 11時