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「さすがの俊もAには敵わないんだよね」
「タジタジな宮っち良いねえ」
「Aはただの姫じゃねえじゃん。時にはドレスの裾を派手に翻しながらなかなかのことをしちゃう姫じゃん」
「そうそう」
すると俊くんは意志を固めたのか私を真っ直ぐ見る。
「Aも約束破ったら針千本飲ますからね」
「俊くんから渡されたら飲めるかな」
「針千本用意するまでが大変そうだよね、本当に」
みっくんと玉ちゃんが何々?と盛り上がってるけど一旦スルー。
「私の推理合ってるかな」
「俺が保証する。でもまだはっきり分かってないから俺に教えて」
私は自分の推理を話す。
俊くんのためだったら何だってやるんだから。
というわけで作戦決行。
玉ちゃんのサイバー能力を使って森が留まっている所を探していくだけ。
私一人がね。
サイバー調査の結果、森は都内のネットカフェを根城にしているようだった。
復讐指南で儲かってるはずなのにね。
そしてネカフェを出たところで声をかける。
「森和秀さんですよね」
私は一般的に可愛いと言われる部類に入ると思う。
だから少しでも愛想良くして可愛い子ぶれば好意的に見てもらえる。
これが私の処世術。
「あなたは……矢作Aさん。知ってますよ」
森の姿は確かにヤクザっぽい。
威圧感パない。
並みの人はビビっちゃうだろうね。
だけど私場数踏んでるからさ。
「ですよね。だから今回の舞台を東京に選んだんですよね?」
「さすがだ。そこまで読まれている。別の場所に移動しますか?」
「そうですね」
森は多分会ったことはないけれど詐欺師とかに向いているんだろうなと感じる。
人の良さそうな笑顔をして他人を威圧させて自分のステージに上がらせる。
そしてそのステージから降りることを許さない。
猪熊さんは彼の口車に乗せられて悲しみにつけ込まれて復讐心を煽られた。
指南ということは手助けはするだろうが実行したのは彼女になる。
こいつの余罪はどれくらいあるのだろう。
私たちは夜の公園に入った。
夜の公園なので当然他に人はいない。
「あなた……『幸せの街』と繋がってますよね」
疑問調ではなく断定口調で言う。
でもそうじゃないと私や俊くんを知っている理由が分からなくなる。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時