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「猪熊さんに任意同行をお願いしようと思ってたんですが……自首でいいんですね？」
「はい……」
「ガヤさん」
「ああ」
二人で猪熊さんを立たせる。
「Aも来て」
「うん」
私はその後ろをついていった。
即座に猪熊さんへの取調が行われた。
私はガヤさんと一緒に取調室の外からその様子を見ることになった。
猪熊さんは涙ながらに10年前に息子が杉山に殺されたこと、その憎しみゆえに彼を殺したことを語る。
人を殺すってどんな感覚なんだろう。
知りたくもないけれど。
「ところであなたには協力者がいるはずです。この人です」
「……はい」
俊くんは森の顔写真を見せる。
「森は今どちらにいるか分かりますか？」
「……分かりません」
「こちらにはどうやって来ましたか？」
「途中まで車で送って下さいました」
俊くんはこちらにアイコンタクトした。
「玉だな」
「だね」
私は玉ちゃんにラインで森の足取りを追うように伝えた。
猪熊さんへの取調はシンプルなものだった。
自首してるし、動機はシンプルなものだったしね。
となると問題はその指南をした人だ。
取調が終わり私たちは零課に戻る。
「さてどうするか」
「むしろ森の方と話したいんだよな。猪熊さんは利用されただけだから」
「猪熊さん全然スッキリしてなかったね」
「当たり前。復讐したって息子さんは帰ってくるわけじゃないから。人の命を奪ったら人間は罪悪感が生まれるものなの。問題はそれに対して何も思わない奴」
「ホントね……あれ、玉からテレビ電話」
ガヤさんのスマホの画面にみっくんと玉ちゃんが現れた。
「猪熊さん自首してきたんだって？」
「そう。彼女に対してすることはないかな。心の中読んでもずっと泣いてばかりいるから。森と接触したいんだけどどうしよう」
「本当は分かってるんじゃないの？宮っちよ」
「やるしかないかあ」
俊くんは溜め息をつきながら言った。
俊くんが迷う理由はきっと私。
「俊くん。事件解決したいでしょ」
「……うん」
「相手はこの事件の黒幕だよ。誘き出すには私も必要なんでしょ」
「……Aさん、良い笑顔ですね」
すると私たちのやり取りを見ていた3人が笑い出した。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年11月22日 15時
