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あの後私たちはすぐに東京に戻った。
翌日私は解決の準備のため警視庁を訪れた。
いいの?民間人を入れてと思ってしまう。
「いいのいいの」
俊くんは笑顔でまた心の声の返事をした。
「Aはいいんだよ」
ガヤさんも帰ってきておりよく分からない理由を行った。
「で、どう接触するの?猪熊さんはともかく、もう一人はそう素直に応じてくれると思う?」
「思わない。そのために正直者のAがいるんじゃん」
「言葉の刃で切れる人ならいいけど。何かあったらどうするの?針千本用意しなくちゃ」
「何か約束してるの?」
そうだった、ガヤさんがいるのに約束の話しちゃった。
「うん、この事件が終わったらね」
俊くんは穏やかに答えた。
ガヤさんついにかって表情してますけど違います。
なんて思ってたら部屋の電話が鳴った。
俊くんが受話器を取る。
「はい、零課。……はい。……えっ?……分かりました。そちらに伺います。……では」
俊くんは少し困惑しながら受話器を置く。
「何だったの?」
「……猪熊晴香がここに来た」
「えっ?」
「一人だけ?」
「みたい。それで俺に繋いでくれって言ってきたらしくて」
俊くんは首を捻る。
「何で俺の名前を……」
俊くんの呟きが私に閃きを与えた。
「俊くん、ガヤさん。今まで何で殺しが東京で行われたのか謎だったじゃない?」
「えっ?まさか……」
「森は復讐指南者でしょ?もしかしたら俊やAのことまで調べてるかもね」
「俺はともかくAのことまでは勘弁してほしいわ……」
そう言いながら俊くんはスマホを操作する。
「北やんに援護頼んどく」
「その方が良いね」
「じゃあA、ガヤさん行こう」
意を決して私は2人についていった。
1階に出向くと女性が小さくなって座っているのが見えた。
「猪熊晴香さんですね?」
俊くんは静かに尋ねた。
「……はい」
猪熊さんは小声で応じる。
その姿は復讐に燃えた母親に見えなかった。
私は俊くんとガヤさんの後ろから彼女の心が読めないか見る。
(……いくら復讐したって空しい。栄人は帰ってこない……)
憎しみって、復讐って、そこから何も生まれないのに、どうしてそっちに走っちゃうんだろう。
「……私が杉山さんを殺しました……」
そう言った後彼女は崩れ落ちる。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時