* ページ6
・
「その怪しい二人組は猪熊晴香と森和秀って出てる。俺が出せるんだからそちらも掴んでいるでしょ。下らねえ縄張り意識」
「本当の意味での協力って知らないのかなって思うよ。で、さっきから笑いが止まらない北やんさん、この2人と福岡の事件の関係性は?」
「それを言おうとしたらお前に動きがあってさ。……まず俺と藤ヶ谷は杉山が住んでたって所を探ってみた。藤ヶ谷のおかげで堂々と警察に訊けた」
「問い合わせたところ、杉山が住んでた地域では未解決事件があった」
「それが中舘栄人くんの事件」
私は俊くんの資料に目をやった。
「当時杉山は子供たちに声をかけることが多くて疑われていた。だけど決定づけるものはなかったので任意同行もできなかった」
「そうこうしてるうちに杉山は地元に帰ったわけか」
「次に俺たちは中舘くんに焦点を当てた。彼は福岡の『幸せの街』の施設に通ってた」
「……私と同じパターンの最悪な結果バージョン?」
「だと思う。で、彼の家族は今どうしてるのか探ってみた。事件後しばらくして両親は離婚した。母親は旧姓に戻った」
「それが猪熊……」
「そういうことだ」
やっとこの事件が分かってきた。
「じゃあもう一人の男は何者?」
「探偵の皮を被った復讐指南業者とでも言っておこうか」
どうやらみっくんのフォルダの中にデータがあったらしい。
「以前から悪名を知っててね。で、そいつが猪熊さんと接触してる場面を見たって証言をもらってる」
「……猪熊さんって福岡在住?」
「そう。ちなみに森は大阪在住だけどな」
「じゃあ何で東京に……」
「それは本人たちに聞いてみないことには。で、玉二人の現在地は?」
「二人は東京にいますね」
玉ちゃんのタブレットには防犯カメラに映る二人の姿が。
「……北やんどう終わらせる?」
「これは宮っちとAの事件だ。二人に任せるよ。もちろん援護射撃はする」
「了解」
俊くんは穏やかな表情だった。
諸々気になることはあるが、多分全てが見えているであろう俊くんについていくだけだと私は心に決めた。
・
36人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時