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それから1週間が経った。
私は今最高に浮かれている。
「A、顔に私は幸せですって書いてある」
「お客さんにも言われた」
ワッターの声には少し呆れが入ってたけど気にしない。
そんなワッターだって赤飯炊いてくれたじゃない。
昨日皆でご飯を食べた。
改めて報告したのは恥ずかしかったけど、祝福してくれて嬉しかった。
にしても俊くんが彼氏……考えるだけで口角が上がる。
「A、給料減らすよ」
そうでした、ワッターは仕事に厳しい男だったとなんとか顔を元に戻そうとしていたら、店のドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃ……えっ?」
どうやらワッターのお知り合いのようだ。
私は初めましての女性だった。
「横尾さんお久しぶりです」
「お久しぶりです……今日はどうして」
「ここに来れば繋いで下さるかなと思って。さすがに警視庁に行くのは気が引けて」
「そうですか。……じゃあ太輔に連絡します」
ワッターはバックヤードに入った。
……ということはガヤさんのお知り合い?
「店員の方ですか?」
彼女は柔和な笑みを見せた。
彼女はここを知っていてガヤさんのお知り合いであると考えると答え方は……。
「私は探偵事務所で働いてまして、喫茶店はその合間でやってます」
「そうなんですか。あっ申し遅れました、私宗像菜央と申します」
「矢作Aです」
宗像さんから名刺をいただく。
嶋田法律事務所と書いてあった。
「弁護士さんですか?」
「いえ、ただの事務員です」
「藤ヶ谷とはどのような」
「藤ヶ谷さんとは前の職場で先輩後輩で」
「ということは元刑事さん?」
「はい」
どういう事情で辞められたのかなと考えた。
そしてガヤさんは何をして零課に流されたのだろうと思った。
「太輔に連絡しました。仕事が終わり次第来るそうです」
「ありがとうございます」
「それまではこちらでゆっくりして下さい」
「そうさせてもらいます」
宗像さんはガヤさんが来るまでワッターのコーヒーを飲みながら何かの資料を見ていた。
夜になりガヤさんが来た。
俊くんも一緒だった。
「宗像……久しぶり」
「お久しぶりです」
普段の表情はクール、喋ると少し明るくなるガヤさんの表情が今は少し戸惑いがあるように見えた。
(変わらないな、宗像は)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時