〈File11〉 ページ48
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Side M
目を開けたら一瞬見慣れない景色だと思ったけど、すぐAの家だと認識した。
隣を見ればAがすやすやと眠っていた。
寝顔も可愛いなと眺める。
昨夜ようやくAに想いを告げた。
Aも応えてくれて、だからこそ別れ惜しくてAの家に上がり込んで、抱き合った。
Aはとても可愛かった。
いつからAのことが好きだったのか?
生まれた時からAを見ていて、妹のいなかった俺はそれこそ妹のように可愛がった。
明確にAを守りたいと思うようになったのはあの事件から。
その頃にはもう妹じゃなくなってた。
ぶっちゃけ警察官になったのはAのためでしかない。
だって分かりやすく彼女を守れると思ったから。
でもうちの家は心の声が聞こえたり聞ける血筋。
いつの間にか俺の気持ちがバレちゃってて、結婚となったときに血が濃くなるから駄目だと親族たちに言われた。
当時親に養われてる身。
もし親たちに逆らったら俺はどうなるか、Aはどうなるのか分からなくて怖かった。
あのときのことはずっと覚えてる。
顔を赤くさせて震えながら俺に告白してくるAを見て抱きしめたかったけど、ペナルティが怖くて断ってしまった。
それから長いこと時は経ってしまったけど、ちゃんと独立してる今、組織や自分の家の実態を知った今、俺たちは誰にも縛られずに一緒にいられるんだよ。
これからは恋人としてAを守れるんだなと思うと口角が上がってしまう。
そんな喜びに浸っていたら俺のスマホがバイブした。
見ればガヤさんからの電話だった。
「もしもしガヤさん?おはよう」
「おはよう。今日俊午後からでいいからね」
「あいつの取調は?」
「罪状が多いから大変よ。でも他の課にも手伝ってもらってるから俊は気にしなくていいよ」
「うん、ありがとう。あいつの顔見たらどうなるか分からないから」
「で、俊今どこにいるの?」
ガヤさんの声がニヤニヤしている。
「……Aの家」
「そうかそうか」
とっても嬉しそうな声。
しばらく恰好のネタになりそうだ。
「じゃあそういうことで。Aにもよろしく」
「うん、バイバイ」
電話が終わると同時に隣がもぞもぞと動き出す。
「ん……俊くん」
何でしょうね、この破壊力。
「おはよう、A」
「おはよう……」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時